【特別連載|私の学びの遍歴】第七回 アメリカ大学院での授業スタイルとは?
先日よりスタートした特別企画(全9回)「私の学びの遍歴」ですが、おかげさまで大変好評いただいています。いつもお読みの皆様、ありがとうございます。
今回は「第七回」の更新になります。
第一回(小中学生時代編)の記事はこちらから
http://tomohirohoshi.com/?p=2332
第二回(高校受験時代編)の記事はこちらから
http://tomohirohoshi.com/?p=2348
第三回(高校時代編)の記事はこちらから
http://tomohirohoshi.com/?p=2367
第四回(大学時代編)の記事はこちら
http://tomohirohoshi.com/?p=2373
第五回(大学時代編)の記事はこちら
http://tomohirohoshi.com/?p=2390
第六回(アメリカ大学院生時代編)の記事はこちら
http://tomohirohoshi.com/?p=2402
私の通っていた「テキサスA&M大学院」の授業はセミナースタイルで、あらかじめ与えられたリーディングなどの課題をこなした上で、クラスにおいては関連したトピックを議論するというスタイルのものが多かったです。
リーディングの量は大変な量でした。本を1冊に関連論文数本くらいを、毎週のセミナーごとに読まなくてはいけないということがざらにありました。英語がままならない状況だったので、初めのうちは非常に苦労しました。
セミナー授業で、一番最初に感じたことは、熟慮を重ねた上での意見を発表するのではなく、パッと思いついたことをどんどんシェアしていくという姿勢でした。クラスの後ろにいて、他の生徒が答えに詰まった時に、ぽろっと素晴らしいことを言うのがかっこいいというような感覚を持っていた私は、授業に馴染むことができず、英語力も相まって、あまりディスカッションに参加することはできませんでした。
初めのうちは、他の大学院生の意見をけむたく思い、「あー全然わかってないな。」「そんなことはわかってるけど、こっちはもっと深いことを考えているんだ。考えてからものを言え。」という様な気持ちでディスカッションを観察していました。
しかしよくよくみていると、最初はあまり理解を伴わない様な馬鹿げた考えでも、他の生徒の意見が加わったり、議論の中で徐々にもまれていくうちに、非常に素晴らしいアイディアに化けるという様なことがしばしばあるということに気づかされました。
また、それによって、もともとはそこそこの理解しかなく、馬鹿げた考えを提示した生徒も理解が深まり、議論に大きく貢献していくことができる。学びを自分一人で引き受けるのでなく、ディスカッションという形で、グループで互いに高め合いながら学んでいくとういやり方を実感しました。
ここですこし私の実感から一般化して、学習におけるコラボレーションの重要性は伝統的な教育学や心理学や脳科学などを含めた学習の科学の観点からも論じられてきました。
グループ学習や生徒同士のやりとりが効率的な学習を促すことは教育学の様々な研究によって周知の事実となりました。
また、学びの科学によって、コラボレーションは脳の記憶をつかさどる部分への刺激をより広範で活発なものにするということがわかってきています。さらに、生徒同士で競争したり、互助したりすることによって、学習に重要な動機付けを維持することもできます。
生徒は常に教師や他の生徒などとの関係性の中で学習していくため、コラボレーションは学習の本質であるとさえ言ってもいいかもしれません。
一方で、コラボレーションを取り込んだ授業は進度が遅くなりがちであったり、生徒がある程度基礎的なコラボレーションのスキルを持っていることを前提したりします。そういった理由から、すべての教科や教材、生徒の年齢や就学度に対して、万能であると言うわけでもないかもしれません。
しかし、アクティブラーニングを紹介した時にを論じた様に、講義ベースの授業方法に頼り切ってしまっては、重要な学習機会を逸してしまいます。
生徒間のコラボレーションを適切にとりこんだ、コラボラティブラーニングをより効果的に学習に取り込んでいくことが、今後も重要な教育課題の一つとなっていくでしょう。
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