【特別連載|私の学びの遍歴】第三回 高校時代編
「特別企画(全9回)」として、連載中の私の学びの遍歴をお話しさせていただきます。
第一回(小中学生時代編)の記事はこちらから
http://tomohirohoshi.com/?p=2332
第二回(高校受験時代編)の記事はこちらkら
http://tomohirohoshi.com/?p=2348
今回は「第三回」として、私の高校時代にスポットライトを当てたいと思います。
私の母校である「ICU高校」についてコメントしておきたいのは、生徒コミュニティーの多様性そのものだけではなく、その多様性がユニークな形で包摂されているということです。
包摂(インクルージョン、inclusion)と多様性(ダイバーシティ、diversity)は並列して議論されるべき対の概念です。
しかし、日本でダイバーシティーが議論されるときは「インクルージョンの概念」が明確化されることが少ないように感じるので、ここで少し説明させていただこうかと思います。
社会において、人々は様々な差異を持っています。民族、収入、階級、性別やジェンダー、年齢、などなど、社会には様々な差異が存在し、人々は他の違った人々とともに共存しています。
これが社会の多様性、ダイバーシティです。
多様な社会の中で、個々人が自らのアイデンティティーを肯定しつつも、 他の個人のアイデンティティーを称えられる。個々人がその地域への帰属を自認し、社会の豊かさを享受する。
そうしたダイバーシティーの社会的包摂をインクルージョンと呼びます。多様(ダイバース)で、かつ、包摂的(インクルーシブ)な社会を作り上げるにはどうしたら良いのか。
昨今のダイバーシティーに関する議論の主題は、このようにインクルージョンの概念とともに立てられています。社会が多様性を有するだけで、その多様性が包摂されない社会では、多様性は帰って害悪になるかもしれません。インクルージョンあってのダイバーシティー。
多様性が包摂されて、初めて豊かな社会が実現されるのです。
ICU高校では、日本で生まれ育った一般生徒と様々な国からの帰国生によって固有のダイバーシティーが実現されるだけでなく、さらに興味深い形で心地よいレベルのインクルージョンが実現していると思います。
例えば、いい意味でも、時には悪い意味でも、ICU高校には変わった生徒が多く、また、ICU高校の生徒は自分が変わっていることを自慢に思っている、という話を度々高校の生徒や卒業生、職員から耳にします。
自分の個性に尊厳をもちつつ、他の生徒が同様であることを許容する。互いに違いを認め合うことによって、「変わり者」たちが生き生きと過ごすできる空間がICU高校のコミュニティーにはあったともいます。
それではなぜそのような空間が実現しているのか。学校のカリキュラムにことさら多様性教育の要素が組み込まれているわけではなかったと思います。
私の仮説としては、帰国生たちが海外居住の経験を通して、何らかの形で社会的マイノリティーであることを経験してきているからではないと思います。
海外で異文化異民族の中で暮らすことは、自分にとって異質なものを受け入れなければならない課程であり、また、自分自身が異質なものとして扱われても辛抱強く自分の個としての尊厳を培っていく課程でもあります。
帰国生たちは海外での暮らしを通して、多様性の包摂に必要な生き方を習得し、ICU高校の多様で包摂的なコミュニティーが実現していたのでしょう。
一般生の私にとっては、非常に貴重な経験をすることができたと思っています。異文化で暮らしてきた友人たち。多様性のある包摂的なコミュニティー。そんな中で、高校生として、非常にのびのびと学校生活を満喫できたのです。
こうした環境が背景にあり、私は高校生活を通じて多様性の概念を肌で感じ取り学び組むことができたのだと思います。
次回の連載では、「大学受験時代」についてお話しさせていただこうかと思います。ぜひ楽しみにお待ちください。
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