【ヘルスケア・スタートアップ代表「塩飽哲生氏」対談ブログ②】

対談

星友啓(以下、星):前編では、ヘルスケアの分野で、革新的なITサービスを次々と立ち上げられてきた「塩飽哲生さん」に、ご自身の経歴、起業やサービス開発のきっかけ、そして日本のEBM事情についてお話しを伺いました。

今回の対談では、現在新規事業として取り組まれている「AwakApp:アAwakApp:アウェイクアップ」というアプリケーションについて、「心を科学的に鍛える」という観点でお話しいただきます。

心を「科学的」に鍛える試み

星:新しい事業としてやられている「AwakApp:アウェイクアップ」は、どのようなアプリケーションなのでしょうか?

塩飽哲生(以下、塩飽):一言でいうと、「心」に焦点を当てたアプリケーションを作ろうとしています。「心」というと、「精神を鍛える」といった、精神論的なイメージがあると思いますが、そこをいかに科学的に解明していくかが今取り組んでいる課題です。

心はホルモンに影響されていることが多いです。そこを突き詰めていくと、脳の視床下部でホルモンがどうやって出てくるのか、そこに科学的な「心」の原点があります。その原点を踏まえて、「心を科学的に鍛えていく」というアプリケーションを作っているのがAwakApp:アウェイクアップの事業です。

星:「AwakApp:アウェイクアップ」という名前からも、「起きる」ことが1つのテーマになっているのではないかと思います。これは心を強くしていくことと、どのように関係しているのでしょうか。

塩飽:はい。まず、心を鍛えるためには「自分のバイオロジカルリズムを整えること」が重要です。そこに焦点を当てるというのが「AwakApp:アウェイクアップ」です。それを整えるためには、きちんと決まった時間に朝起きる。そしてそれをできる限り早い時間に設定して、朝日を浴びることが重要だとわかってきました。

理由としては、バイオロジカルリズムは誰しも24時間より長いと言われています。特に若い頃は25時間以上だという研究もあります。ですから、どこかでリセットしなければどんどん夜型になってしまう。そのため、地球の時間に合わせるために視床下部に太陽の光を当ててリセットをする必要があります。

星:そのバイオロジカルリズムに身体が合っていると、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?

塩飽:例えば、バイオロジカルリズムが狂ってしまうとモチベーションが上がらず、否定的な考えに陥りがちです。うつ病のリスクも上がってしまいます。逆に朝の一発目からのスタートが上手くできていると、その後、何をやっても上手くいきそうな気になっていきます。記憶は睡眠によって頭の中で整理されて一度リセットされますが、昼寝をしない限り、朝の記憶は、その日、一日中ずーっと残ってしまうのです。

ですから、「朝良いスタートが切れた」という記憶から始まるのか、「朝いつもより遅かった」「起きようと思ったけど、今日“も”いつもの時間に起きた」という記憶から始まるのか。前者と後者では1日の効率化が全く違ってくるのです。

広島大学の研究では、バイオロジカルリズムを整えて自分で自然に起きた人と、目覚まし時計に起こされた人では、1日の活動量が約20%も違うという報告も上がっています。早寝早起きをすると、自分で起きる時間を意識するので、体内時計が整ってきます。その結果、目覚まし時計なしで起きられるようになったという人がアプリユーザーの中で増えてきています。

つまり、「◯時に起きたいと考えると勝手に体内時計が働きだす」という状態を生み出していけるのです。

早起きは「アプリ」で作れる

星:早起きは、バイオロジカルリズムがまず重要で、ただ早く起きるだけではなく、「自然に目が覚める状態を作ること」が重要なのですね。

今開発されている「AwakApp:アウェイクアップ」は、自然と早く起きるためにどのようなサポートをしてくれるアプリなのでしょうか。

塩飽:一つ目は、決めた時間よりも早く起きると点数がもらえるというゲーミフィケーション(ゲームの要素をゲーム以外の物事に応用すること)が用意されています。

例えば、私の場合4時半のキャラクターを買ってやっています。点数をもらうため、「4時半に明日起きるために今日何しようか」ということを、起きたときから段取りしていく必要が出てきます。早起きは、前日の日中の活動がとても影響するので、そこを意識するというのが一つ重要です。段取りが身につくと、頭の中で4時半というのがインプットされます。且つ、報酬をもらえるため「4時半より早く起きたい」と脳が活性化していきます。その結果、自己覚醒が回りだすという流れです。

そして、もう一つトライしているのが、「ソーシャル・ウェイクアップ」という形で、朝5時に皆で起きて、アファメーションや瞑想の時間を作っています。起きた人が、そこに自由に入ってアファメーションや瞑想をするというイメージです。

これを続けている方にアンケートをとると、「体が軽くなった」、「自分から目が覚めるようになった」、「自己肯定感が上がった」という声が多く、効果を実感していただいています。

星:実は、私も夜9時に寝て、4時、5時に目覚ましなしで起きるようにしています。確かに、いつも通り4時に起きられた時に比べて、6時台になってしまった時は損をした気持ちになって、1日気分が上がらないと言う感覚があります。

塩飽:今、AwakApp:アウェイクアップを利用されているのは、30代40代の方が多いですが、今後はそのお子さんたちにも使ってもらえるような設計を考えています。
子供が朝起きられないと、親としても毎朝起こすのが大変、子供も毎日起こされて嫌になってしまう。

特に、ティーンエイジャーの子供たちは「自分で考えて何かをやりたい」「やったことを親に認めてもらいたい」という欲求があります。自律的な早起きが身につくことで、「自律的にやっている感覚」「自分ができている感覚」を、作り出すことができると思っています。

親から言われると自発的な感覚もない、「やれ」と言われてもやりたくない、やるべきことはわかっているのにできない。そんな状況が繰り返し起こされます。

星:なるほど。具体的には、お子さん向けにどのようなシステムを用意されているのでしょうか?

塩飽:早起きなど、心が鍛えられるような行動習慣を身につけていくと、コインが溜まっていき、その架空のコインを我々のプラットフォームの中で、実際の映画のチケットやナイキのスニーカーと交換できるという仕組みを考えています。その架空コインの資金源は、親に1日100円を予算として入れていただき、その一部で彼らがコインを獲得できるという形です。ですから、3ヶ月頑張ればディズニーランドに行ける、映画館だったら1ヶ月頑張ればいけるというモチベーションが生まれます。
そして、同じようなメカニズムで、気がついたら勉強が好きになった、そういった子供たちがたくさん出てきて欲しいと思って、最近話題のChatGPTの技術と脳科学のエビデンスを組み合わせて、AI tutorという自宅学習アプリもAwakAppシリーズとしてリリースしました。

星:親も子供もメリットを得られるような環境作りに繋がりますね。

AwakApp:アウェイクアップを入手する他に、より一般的な意味で自然と早起きができるためのコツなどはありますでしょうか?

塩飽:東回りの時差ボケを治すのは辛いのと同じで、早起きはすぐに後ろ倒ししがちなのです。そのため大切なことは、睡眠不足にならないための、決まった時間に安定して寝られるのか?です。
そしてそのために大事なことは、起きた時間に寝る時間を決めて、その時間までにやるべきことを効率きてにこなしていくことだと思うのです。

早起きは本当に三文の徳?
早朝の有効活用法とは?

星:最初の変化は難しいですが、何事も習慣づけで、少しずつやっていくうちに誰でも慣れてくるということですね。

早起きは三文の得と昔から言いますが、朝早く起きてやることがない時や、時間が余ってしまう時にやると、よりよくなることはありますか?

塩飽:もし、何もやることがなかった場合、一番のオススメは「朝の散歩」と「メディテーション・ヨガ・ストレッチ」ですね。これは本当に1日を整える上でプラスだと思います。

私の場合、4時30分に起きていてもやることが間に合わないと思っています。自分が何をやっているのかリストアップをしましたが、そうするとやはり4時に起きないと間に合わない。ですから、今はさらに30分早い4時に起きようとしています。

星:共感します。私の場合、早朝が唯一誰にも話しかけられず、1人で集中ができる時間です。日中は仕事もあるし、ミーティングもあるし人に話しかけられます。

物を書いたり、何かに集中したり、運動をしたり、1人だと好きなことができますね。子供と戯れるのも好きですが、やはり、やらないといけないことをやるのは1人でやるのが一番効率がよいです。だから、朝の時間は大事にしています。

先ほどお話しいただいたヨガや散歩も、ただ気持ちがよいだけでなく、健康や精神面への効果が科学的にも示されてきています。実際に、長期的にも健康や心に良い効果が出てくるので、ぜひやってみてほしいですね。

このたびは、大変有意義なお時間を本当にありがとうございました。

AwakApp: https://www.awak.app/
AI tutor: https://www.ai-tutor.app

 

塩飽哲生(しわく・てつお)


スペシャリスト・ドクターズ株式会社、AwakApp Inc、Virtual Smart Health IncのCEO兼共同創業者。東京大学で5年間のヘルスケア研究を行い、2011年に起業。起業後、WhytPlot事業を立ち上げ、グローバルな製薬会社のほぼ全てを顧客として取引を開始。また、がん患者向けのオンラインセカンドオピニオン「Findme」をリリースし、これらの事業をアフラックグループに売却。
現在は、妊婦さんの多様なニーズに応える分娩予約サイト「スペシャリスト・ドクターズ(https://www.specialist-doctor.com/child_birth/)」事業と共に、バイオロジカルリズムを整えるゲーム「AwakApp」を立ち上げる。

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