【特別連載|私の学びの遍歴】第五回 大学時代編

特別連載

先日よりスタートし特別企画9私の学びの遍歴」ですが、おかげさまで大変好評いただいています。いつもお読みの皆様、ありがとうございます。

今回は「第五回」の更新になります。

第一回(小中学生時代編)の記事はこちらから
http://tomohirohoshi.com/?p=2332

第二回(高校受験時代編)の記事はこちらから
http://tomohirohoshi.com/?p=2348

第三回(高校時代編)の記事はこちらから
http://tomohirohoshi.com/?p=2367

第四回(大学時代編)の記事はこちら
http://tomohirohoshi.com/?p=2373

文学部に転入してからも目的なき怠惰な生活は続き、そんな生活から抜け出せないでいました。

ある時気づいたら同級生たちの就職活動が終わっていました。あまりに学校生活から離れていたため、就職説明会などがあったことさえ知らず、就職活動の全体的なスケジュールも認識していませんでした。

どこかでうっすらと何かやっていなくてはいけない時期であるということはわかっていたのかもしれません。同級生たちが実際に内定をもらい始めて、いよいよその現実を認めざるおえなくなっていきました。

就活して内定が取れないならまだしも、就活の時期さえもわからなかった。本当にこれでいいんだろうか、どうしようかと考えていた自分に気がついたとき、右手でパチンコのハンドルを握っていました。本当に変わらなければならないという、するどい恐怖感がこみ上げてきたのを鮮明に覚えています。

とにかく就職ができなかったと言うことで、今後どうしていくべきかを早急に考えていかなくてはいけませんでした。これまでの学歴に重きを置いた人生設計を活かして、まずは、大学院に進学するということに焦点を定めました。

そのために、まずは卒業論文に真剣に取り掛かりました。アメリカ現代言語哲学のトピックで意味の全体論についてかきました。

大学院のチョイスとしては東京大学の大学院も考えられましたが、とにかく大学に行っていなかったので、第2外国語の試験や学科試験のある東大の大学院試験に受かることはできそうにありませんでした。

また、皮肉なのですが、自由度の高い空虚な生活を長く続けていたせいで、私の自尊心も非常に空虚で、中に残っているものは「東京大学」というラベルしかなく、それが私の自尊心の中心に座っていました。

そのせいで、東大以外の大学の大学院に進学することが憚られてしまいました。大学院進学に焦点を定めてはみたものの、ちょびちょび、グダグダと、何度も堂々巡りに同じ様なことを考えて、結局何もできないでいる自分に再度恐怖感を覚えました。

もう本当にラディカルに変わらなくてはいけないと思いました。しかし、どうしたらいいのか。何をしようとしても、これまで通り東京にいたら、同じ様な日々が続くか、またそこに簡単に戻ってしまうのではないかと感じました。

そこで、どこか違う場所に行ってやり直してみてはどうかと考えるようになりました。

そうして考えていくうちに、アメリカ留学を選ぶに至りました。何かアメリカでやりたいことが目標にあって、アメリカ留学を選んだのではありません。どこでもよいから大きく環境を変えたい。卒論はアメリカ言語哲学で書いた。英語に抵抗はなくむしろ憧れもある。アメリカに行ってみよう。

学問を通して、もう一度自分と向き合ってみたい。違う文化に飛び込んで、学歴などの社会的なラベルを捨てて、自分自身をみつめ直せば、今の自分を変えていくことができるのではないか。

内発的に動機づけられた具体的な目標がない自分。そんな自分を急に変えることはできなさそうだが、環境をかえることはできる。そうすれば自分が変われるかもしれない。そう感じていました。

ガラッと自分を変えるのはむずかしことだと思います。仮に気持ちを切り替えられたとしても、自分の力量や感覚は徐々に変化しうるものであっても、突如変えることができるものではありません。

とりあえず、自分を今すぐ変えるのが無理なときは、環境から変えてみてはどうでしょうか。生徒の支援者として、私たちも、それを思い切って支援してあげることも時には大切なことかもしれません。

さて、アメリカに留学することを決めてから、具体的に行き先を決めていくことにしました。アメリカでは学士を取得してから、直接博士のプログラムに入学することができます。

しかし、私の場合には英語が母国語でないことと大学での不勉強という二つの大きな問題があったので、英語に慣れながら哲学をなるべく基礎からやり直していくということに焦点を置いていきました。

そこで、直接博士課程に入学するのではなく、まずは、修士を取得することを目指すことにしました。修士過程のみの学部ではボストンのタフツ大学(Tufts University)とテキサスA&M大学(Texas A&M)が米国ではトップ校とされていたので、東京大学卒業直前に、その2つの大学に出願しました。

タフツはあっさりと5月ごろ不合格通知を送ってきました。 成績表の英訳、志望理由、英語の哲学論文のサンプルなどなど、いろいろと苦労して用意したのですが、あっさりと不合格で、海外留学するということは、やはり一朝一夕にはいかないことなのかと感じてしまいました。

不合格通知の中に、大学院留学生むけのトレーニングコースの宣伝が入っていたので、大学院入学が叶わないにしても、とりあえず、そのトレーニングだけでも出席してみることにしました。

9月からの修士プログラム開始に対して、夏になっても テキサスA&M大学からは何の音沙汰もありませんでした。

結局アメリカ大学院留学計画は頓挫になるだろうと諦めきっていました。せっかくだからと出席した大学院留学生のためのトレーニングコースに参加して、一週間ほどたった8月半ば頃のことだったと思います。

両親からメールで連絡がありました。すぐに電話せよ。電報の様なメッセージでしたが、「台湾のお兄ちゃんに聞いてみたんだけど、何だか合格って書いてあるみたい。文章をメールで送るから読んでみて!」しばらくして届いたメールを見ていると、テキサスA&M大学からの哲学部修士課程合格通知でした。

次回の更新からは、日本での学生時代からシフトして、私のアメリカでの大学院生時代をお話しさせていただこうと思います。

当時実感したアメリカの人々の 教育や知識に対する姿勢に関して、以下の様な点をハイライトしていきたいと思います。

  • 専門英語は日常会話より易しい。
  • 英語ができないのは得なこと。
  • コラボレーションの姿勢。コラボラティブラーニング。
  • アメリカは日本以上の学歴社会。
  • 知識と学問の価値が身近なアメリカ大学周辺空間。
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