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天才児はどのような教育を受けるのか?「ギフテッド教育」を徹底解説

教育
ギフテッド教育とは?

日本語の「ギフト」は、主に「贈り物」を意味する言葉です。

英語の「gift」には、それに加えて、「授かりもの」というよう含みで、才能や高い能力、適性という意味があります。

そういった意味でのgiftをもつgifted(ギフテッド)な子供のための教育がギフテッド教育です。

私の在籍するスタンフォード大学は、アメリカにおけるギフテッド教育の先駆け的な役割の一旦を担ってきました。

また、私の運営するスタンフォード・オンライン高校も、そうした生徒たちに適した機会を提供するということがミッションの一部になっています。

ここで少し、アメリカでのギフテッド教育についての紹介してみたいと思います。

天才はどのように定義されている?

ギフテッドとはどのような子供たちのことを指すのでしょうか?

アメリカの教育関連の連邦法における定義を意訳すると以下のようになります。

学問、芸術、リーダーシップなどを含む特定の分野で、高い達成能力が確認され、そうした能力を十分に発達させていくためには、平均的な学校で提供されていないサポートを必要とする児童(初等中等教育法、Elementary and Secondary Act)

ここで「高い能力」とは平均的な同年齢の児童との比較において、とういことです。

またもう一つ重要な点は、そうした高い能力が、判定テストや教育心理学者の診断などを含めて、何らかの方法によって「確認」された児童がギフテッドと呼ばれるということです。

さらに、「特定の分野」という部分もギフテッドの本質を表しています。

才能というと、何でもできるオールマイティーなイメージを持つことがあるかもしれませんが、様々な研究で才能は特定の分野に特化されがちであるということがわかっています。

言語能力に非常に長けているのに、数学は通常のレベルである。

そうした場合に、数学は通常の学習深度をキープしながら、言語能力の才能をいかに伸ばしていくことができるかということが、課題になってきます。

アメリカでは10%程度の生徒がギフテッドな子供であるとされています。

天才のポテンシャル

ギフテッド教育は、アメリカにおいて、主要な教育分野の一つとなってきました。

ギフテッドな子供たちのニーズを理解し、ギフテッドの判定法や、適切なサポート、能力を伸ばしていくための教育方法やカリキュラムなどを研究する分野です。

また、そうした活動を通して、ギフテッドな子供たちへのためのサポートを普及させたり、教育者や保護者、ギフテッドな子供たち自身への的確な情報提供をしていくことを目的としています。

ギフテッド教育の背景には「2つ」の基礎的な考え方があります。

一つは、いうまでもなく、ギフテッドの子供たちの才能を適切に伸ばしていくべきであるという考え方です。

通常の教育方法やカリキュラムでは物足りず、伸びるものが伸ばせない。才能のポテンシャルに見合った機会を提供していくべきである。

そうしないことは、教育の機会の平等の原則に反し、また、社会全体として内在されたポテンシャルを活かしきれないことにつながる。伸ばすべき才能を伸ばさなければいけない、とういわけです。

もう一つの考え方は、才能のある子供達には、その才能がゆえに直面しやすい問題があり、それらを適切に認識しサポートしていかなければならないというものです。

通常の授業が簡単すぎて素行の上で問題がみられたり、適しない学校環境が精神面での問題につながるケースもあります。

また、2e(Twice exceptional)といって、特定分野での才能と精神疾患や学習障害が伴う子供たちも存在します。

そうした子供たちをどのようにサポートしていくかということがギフテッド教育の取り組む一つの主要問題です。

また、ギフテッド教育は、日本語で言う「英才児教育」や「エリート教育」と根本的な視点が異なるものです。

エリートが持つべきスキルを育成する。小学校低学年で英検2級レベルになる。

という具合に、教育方法に期待される結果に主眼を置くのが、「英才児教育」や「エリート教育」です。生徒の特性やニーズよりも、結果に主眼を置きがちであるということが言えます。

一方で、ギフテッド教育は、何らかの判定された才能を持つ子供たちを適切にサポートするということに基礎があり、特定の結果に力点が置かれているわけではありません。

推進している団体やプログラム

アメリカではギフテッド教育を推進普及する教育団体や、教育機関が多数存在します。

例えば、ギフテッド児童協会(National Association for Gifted Children、NAGC)はアメリカで最も知名度の高いギフテッド教育の推進団体といってよいでしょう。

教育者や研究者を集めた学会を開催したり(今年の後半に私もNAGCの学会で研究発表を予定しています。)、教師や学校向けのためのトレーニングを提供したり、保護者や生徒向けのプログラムや資料を提供しています。

英語に慣れている方で興味のある方は、ホームページをご覧になることをお勧めします。

NAGCホームページはこちらから
http://www.nagc.org/

また、Center for Talented Youth(CTY)はアメリカの有名大学の一つであるJohn’s Hopkins大学の人気プログラムです。(talentとgiftを区別することもありますが、一般的には同義に考えて差し支えありません。)

少し前に私自身もCTYプログラムの評価委員会として、お手伝いしてきました。

CTYはギフテッド教育の研究センターとして、ギフテッドな生徒たちを発掘し、サポートすることを目的に設立されました。

現在では世界有数のギフテッド教育プログラムに発展してきました。

ギフテッド認定テストや、小学校から高校までの幅広い学年生徒を対象に短期プログラムやオンラインコースを通して、ギフテッド教育を提供しています。

もちろん、こうしたギフテッド教育専門機関に加えて、個々の学校やその他の教育機関で、ギフテッド教育のプログラムや教育方法の導入が盛んに行われてきました。

ギフテッドな子供の特徴とは?

結びに、読者の保護者の方向けに、先ほど説明したNAGCのホームページより、ギフテッドな子供の特徴をいくつかかいつまんで紹介してみたいと思います。

  • 物わかりが早い、物覚えが良い。
  • 通常以上の語彙力と複雑な文章構成ができる。
  • 特にパズルやかずあそびを好む。
  • 非常にものごとに敏感である。
  • 物事に深く、強烈な感情を覚えたり、激しく反応したする。
  • 早い時期から理想論や公正の概念を会得している。
  • 早い時期から社会の不平等や、政治問題に関心がある。
  • 自分の考えに耽りやす。空想家。
  • 直接聞くのではなく、探りをいれるような質問ができる。
  • 試しにやってみたり、違うやり方でやることに興味がある。
  • 特徴的なユーモアがある。
  • ゲームや複雑な図式で、人や物をオーガナイズしたがる。
  • 鮮明な空想ができる。(幼稚園の時期に空想の友人を思い浮かべるなど。)

この辺りのことが多く当てはまる子供がいれば、少しギフテッド教育について調べ始めても良いかもしれません。

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