日米教員の統計を比較してみてみた!「収入/男女比率/年齢」どう違う?
日本の教育界でも9月入学の可能性が取り沙汰されましたが、アメリカは大体8月中旬から9月中旬くらいのどこかで学校が始まるイメージです。
というわけで、夏は年度末なわけです。学校の経営側からすると、来年度に向けて、給与の設定や、予算の再調整などをするのもこの時期です。
そんな時期なので、世間でいろいろと教員に関する統計が上がってくきます。最近アメリカ全国の教師に関する調査が出てきたので、この機会に少し日米比較してみようと思います。
アメリカ側の資料は主に、アメリカの教育省の統計調査から(https://nces.ed.gov/pubs2020/2020142.pdf)。日本は文科書の統計調査から(https://warp.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/11293659/www.mext.go.jp/component/b_menu/other/__icsFiles/afieldfile/2018/03/28/1395303_03.pdf)。
年齢、性別、人種など
年齢は日本もアメリカも平均すると40前半です。高校でみるとアメリカが43歳、日本が45歳となっています。
性別はアメリカが、女性4分の3。男性4分の1、日本は女性がやや多いものの、ほぼ半々です(女55%男45%)。
アメリカの教員に女性が多いのは伝統的なことです。しかし、全体の比率に対して、校長などの管理職に女性が少ないということで、性別による不均衡の問題が大きく取り沙汰されてきました。
全体では女性と男性の3:1の比率が、校長職では、ほんの少し女性が多いものの、大体、半々の数字になっています。
さらに、独立系の私立校や、学区の校長をまとめあげる「スーパーインテンダント」というリーダー管理職になると、女性比率が4分の1に激減します。
これは問題だ!ということで、アメリカ教育界でこうした問題に目を向けながら、教育者として過ごしてきたわけですが、ふと、平成28年の日本の統計を見てみました。
初中等教育で、全体でほぼ半々の男女比が、85%ほどの校長が男性で、15%が女性ということです。なかなか、衝撃というか、やっぱり、というか。やるべき課題が山積しているのはどの分野も同じようです。
それから、アメリカの教師の人種をみてみると、トップ4で、白人が80%、ラテン系9%、黒人6%、アジア系2%という分布になります。
アメリカ全人口の分布は同順で、60%、18%、13%、6%になるので、極端に白人よりに不均衡があるというのがみて取れます。
ちなみに、初等中等教育の18歳以下に限ってアメリカの人口統計をみると、ちょうど2020年から白人は50%以下になってきています。
より多様性のある生徒世代を、多様性のへだった教員世代がおしえるという、ちょっとしたねじれ問題も起こっています。
というわけで、アメリカの平均的な高校教師は43歳白人女性、日本はちょっとだけ年上で45歳やはり女性ということになります。
また、もちろんですが、日本の教師は、ほとんどが「アジア系」ということになりますね。
気になる収入は?
さあきになるのが、収入ですよね。
基本給を月収でいうと、アメリカの平均が高校で55万、日本が36万になります。
基本給の月給で比較すると、結構な差に見えますが、実は年収の全体で言うとそんなに変わらないようです。アメリカも日本も、高校レベルの平均で600万後半から700万前半くらいに収まるようです。
アメリカの場合は教師に対する手当てやボーナスが少ないのに対して、日本は基本の月収が安い分、ボーナスや手当てがいいので、その分で埋め合わせがされています。
また、アメリカの教員の収入に関して、話題なのが、20%の教師が教員としての仕事以外に他の仕事をしています。つまり、多くの教師がいくつか「ギグ」をもって仕事しているのです。
塾や家庭教師などの学校外での教育関連のギグワーク以外にも、レストランや、スーパーでの仕事などもやっています。実際、私の息子の火曜キンダーガーテン(小学一年の一つ下の学年)の先生は、隣のスーパーでギグバイトをしているところをよく見かけます。
教師のギグによる収入の平均は代替70万程度で、年棒の10%くらいをギグで稼いでいるようです。
私は教育者を非常に尊敬しています。本当に有能で、生徒の学びを真剣に考える。私には真似できないような誠実で熱心な教員たちを何人も見てきました。その人たちが、ギグをやらなくては、教師としての仕事だけで食べていくことができないという現実は変えていかなければいけないと思っています。
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