コロナ禍で「オンライン化した」アメリカ教育の現状
私のカリフォルニア州では学校封鎖要請が出されてから2ヶ月以上が経ちました。これまで全米8割以上の州や地域で学校封鎖令もしくは要請が出されてきました。
日本でもオンラインに移行措置をとる学校が増える中、今回のブログでは、現在のアメリカの教育現場の状況をお伝えします。
小中高に的を絞って、4月29日発行のEducation Weekで発表された教育者への調査からのハイライトです。
オンライン指導の移行率
93%の教師がなんらかの形で学校閉鎖期間中にオンライン指導をしていると答えています。
44%がオンライン指導とプリントアウトのミックスです。そのうち12%が生徒と教師のやりとりがほとんどない形で、のこりの32%が生徒のやりとりが定期的に行われる形で行っているようです。
これだけプリントアウトとのミックスで行っていることの背景には、100万人程度の生徒がインターネットにアクセスできないという現状があります。
そうした子供たちが一定数いる学区では、完全にオンラインの指導をすることができません。
また同様にオンライン指導を受けるためのコンピューターの普及も課題となっています。
そうした場合、オンラインの教材で学習するオプションと、配布された教材で学習するオプションの両方が用意されなくては行けません。
学校閉鎖中になんらかの指導が行われている93%のうち、残りの49%がオンラインだけの指導となっています。
そのうち17%が生徒と教師のやりとりがほとんどない形で、のこりの32%が生徒とのやりとりが定期的に行われる形で行われています。
オンラインの指導に移行した学校が多いと言っても、教師と生徒や生徒同士が頻繁にやりとりをしたり、オンラインの授業を行っている現場は3割程度ということで、オンライン指導への移行にも大きな格差が現れていると言っていいでしょう。
教師や学校の厳しい現状
オンラインの遠隔教育に移行して、教師の生活が大きく変容せざるを得なかったことは間違いありません。まず、教師たちの多くが家族を持ち、子供を育てています。
その子供たちが学校に行けないため、家で子供の面倒をみながら教えなくては行けません。
慣れないオンラインの指導の準備と、家での仕事の増加で、多くの教師が苦しんでいる現状です。
また、指導やその準備に費やす時間よりも、生徒のコンピューターなどのトラブルシューティングをすることに教師の時間の多くが割かれてしまっているという現状が見えてきました。
70%の教師がより多くの時間をトラブルシューティングにさかなければならないと回答しています。また、親との連絡にさかれる時間もオンラインに移行してよりおおくなったと60%程度の教師が回答しています。
そんな中、教師や生徒、その他の学校従事者の士気が落ち込んでいることも明らかになりました。3割程度の教員が教師や生徒の士気がどん底に落ち込んでいると答えています。
生徒が出席しない問題
また25%ほどの生徒がオンラインの指導や授業に参加していないということもわかりました。
インターネットやコンピューターが使えないということの他に、バイトをして家庭を支えていたり、学校封鎖の間に他の兄弟の面倒を見なくては行けなかったり、などの理由があります。
また、そうした状況を考慮して、多くの学校で出席や成績が記録されないという措置が取られています。
そのため、生徒もさらに出席しなければならないという意識を失うということも指摘されています。
「教育テクノロジーへの印象」の変化
一つ朗報は、教育テクノロジーへの評価が少し良くなってきたということです。
この状況でオンライン指導などで、教育テクノロジーにより多く触れなくては行けなくなった、教師たちが現在の教育テクノロジーに一定の評価を与えていることがわかりました。
2割弱の教師がこれまでよりも教育テクノロジーの印象が悪くなったと答えました。これまでの印象と変わらないと答えたのが25%、残りの6割にあたる教師がこれまでよりも教育テクノロジーの印象が良くなったと答えています。
これは私に取っては朗報で、悪烈な状況でのオンライン指導への移行で、オンライン教育や教育テクノロジーによからぬ印象を持ってしまうのではないかという懸念を持っていましたが、とりあえずはそれが払拭された形です。
今後もオンライン教育への移行で手伝っていけるところがあればどんどんサポートしていきたいと思います。
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