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EdTechリーダーとベンチャーキャピタルの集い「ASU GSV Summit オンライン・カンファレンス」

現地取材

私の住むベイエリアは外出禁止令が出てから2ヶ月がすぎました。

5月初旬に、工事現場など室外での作業にあたる職業従事者の経済活動が解禁になりましたが、公園や学校はまだまだ封鎖状態です。

細かい規制に違いがあるものの、これまで8割以上の州や地域で外出禁止令や学校封鎖令が出されてきました。

そうしたコロナ禍の状況で、今年の春以降に予定されていた教育関係の学会がいくつかオンラインのカンファレンスに切り替えました。

ここ数年で世界でも指折りの人気教育形カンファレンスに成長したASU GSVも、今月、オンラインのウェビナー形式のカンファレンスを開催しました。

私もいくつか参加したので、今回は、ASU GSVの紹介がてら少しハイライトしてみたいと思います。

世界でも指折りの大型教育カンファレンス「ASU GSV Summit」

ASU GSV Summitは、その名が表す通り

ASU(Arizona State University、アリゾナ州立大学)と、GSV(Global Silicon Valley)

というベンチャーキャピタルが共同で行っている年に一度の大型カンファレンスです。

教育とEdTech(http://tomohirohoshi.com/?p=234)を中心にした、学びとキャリアのイノベーションのための関連分野のリーダーたちの集いです。

参加者は五千人程度で、EdTechやオフィス向けのテクノロジーの会社のCEO、教育機関や政府のリーダー、ベンチャーキャピタルなどの投資家が参加します。

2010年からの開催で今年で11年目を迎えています。

ASUは日本ではあまり知られていないかもしれませんが、ここ数年連続で「最もイノベーティブな大学」の称号を得ている大学です。

Starbucksなどの企業とのユニークな教育連携でも有名です。

GSVは教育テクノロジーやワークフォーステクノロジーに投資するベンチャーキャピタルで、MOOC(参照「http://tomohirohoshi.com/?p=209」)の世界最大級のプラットフォームであるCourseraなど数々の大型EdTech企業に投資してきました。

教育者の中では、ちょっとビジネスライクすぎるカンファレンスとして毛嫌いする人も見られるように思いますが、私はここ数年参加してみて大ファンになりました。

ビルゲイツやオバマ前大統領などの他では見られないような基調講演や、今をときめく教育リーダーやEdTechリーダーたちのパネル・ディスカッションなどで、毎年大盛り上がりです。

日本からの参加者もちらほら見受けられるようです。

昨年はスタンフォードと世界的コンサル会社のマッキンゼイのコラボで、EdTechのCEO限定のディナーも開催したりしました。

そうした場を通して、経済界と教育会のネットワーキングにも重要なフォーラムとなってきました。

テーマは、Before COVID(コロナ前)からAfter Disease(コロナの後)へ

毎年一度のカンファレンスは3月末にアメリカの南カリフォルニアにあるサンディエゴで2日間にわたり開催されてきました。

今年は直前まで開催が予定されていましたが、数々のカンファレンスのキャンセルの波の中で、ASU GSVも通常の形での開催ができなくなってしまったようです。

通常の形のカンファレンスが秋に移行される中、4月中に、オンラインのウェビナー形式で毎週水曜日の午前中(西海岸時間)に2時間くらいカンファレンスが開催されてきました。

2日間ずっとオンラインでウェビナー詰めというのは不可能なので、小刻みに毎週、同じリズムで2時間というフォーマットは結構気に入りました。

カンファレンスのテーマは「みんなでBCからADに行こう!」(We are moving from BC to AD)です。

BCはBefore COVIDで「コロナ前」、「AD」は「After Disease」で病気の後、つまり「コロナの後」という意味で、「紀元前」の「BC」と「紀元後」のと「AD」にちなんだ、ユニークなものです。

テーマに沿って、現在のコロナ禍の状況でのアメリカや世界の教育と、それに関連する産業や政府の取り組みなどが議論されてきました。

締めの日のダイジェスト

毎週のウェビナーも今週で最後でした。

1ヶ月にわたって参加してきたので、なんだか物寂しくもなりましたが、最終日も非常に勉強になりました。

最初のセッションは教育関係の寄附金や奨学金基金などの事前団体のリーダーたちのパネルディスカッションでした。

コロナ禍で教育やその資金繰りがどのように変化していくかを大局的な視点から議論しました。

2番目のセッションはGoogle, Microsoft, Amazon, IBMなどの有名IT企業から教育関係セクションのリーダーがあつまり、現在のオンライン教育や教育テクノロジーの状況を考えました。

最後のセッションでは元アメリカ大統領のブッシュの次男であるフロリダ州知事のジェブブッシュのインタビューで、現在のコロナ禍におけるアメリカの教育と今後を政治的な視点から語りました。

4月のASU GSVのウェビナーシリーズにふさわしい中身の濃い2時間だったと思います。

【ハイライト】「大学と企業の協力」と「学びのマイクロ化」

今日の2時間で一つ大きなテーマとして何度か議論に上がった点が2つあります。

「大学と企業の協力の必要性」と「学びのマイクロ化」です。

どちらもこのブログで少し扱っていますので興味のある方は、

「アメリカ教育のメジャートレンドを解剖!」(http://tomohirohoshi.com/?p=234)の「次世代社会人への教育」や

「学歴の持つ意味はどう変化していくか」(http://tomohirohoshi.com/?p=350)の「トレンドは、マイクロ化?」をご参照ください。

ここでは、今回のウェブカンファレンスの議論からハイライトしてお伝えします。

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コロナ禍で進んだオンラインコロナ禍の経済への影響が大きく、アメリカではすでに失業率30%以上、3000−4000万人の失業者が出ることが見込まれていることを踏まえて、今後の大学や企業、学生への影響が議論されました。

失業率の高い中、企業側はより雇用に慎重になり、労働者側からすると、雇用マーケットの競争がより激しくなります。

大学などでの学位やトレーニングが鍵となり、リーマンショック後にも起きたように、学校での生徒数が増えることが予測されます。リーマン後は20%弱も大学の生徒数が増えました。

一方で、多くの短大や大学は資金繰りに苦しみます。経済敵打撃で、学費をあげることはできません。企業も即戦力の人材を求めて、より仕事に関連のあるスキルをより細かく学生に要求するようになります。大学側はその要求に答えるために企業との連携を強めていくことになります。

そうした流れの中で、激しくなる雇用マーケットの中で、学生は何年もかけて学位を取得するのではなく、よりサイズ小さい、スキルに焦点を置いた短いトレーニングなどで、資格や修了証を求めるようになります。

大学も、これまでのように数年にわたる全般的なトレーニングを要する「学位」という制度をなんらかの形で進化させていくプレッシャーにさらされていくことでしょう。
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だいたいこんな感じの議論でしたが、全く同感です。

特に「マイクロ化」はこれまでも進んできたので、今後加速度的に広がっていくことでしょう。

大学や関連教育機関で準備や検討を進めていかなくてはいけません。

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