2019年12月22日 21:11

「学歴」のもつ意味はどう変化していくか?

教育

XX大学学士。YY大学修士課程修了。人文の単位を10単位取得。国語の成績5で数学は3。こうした学位や単位、成績表などといった、教育現場で伝統的に使われてきた仕組みに対して、新しい形を模索していこうとする流れがアメリカの教育界で顕著になってきました。今回はそうしたトレンドをサクッと紹介していこうと思います。

トレンドは、マイクロ化?

学位は、確立された学術分野に関して、何年にもわたるトレーニング、学習、研究の成果として、授与されるものです。英語でいうとdegreeということになります。最近はそうした学位の分野や期間を小さく設定して、短期間で必要なだけの情報やスキルを集中的に取得できるようにしていこうというトレンドがあります。

ナノ学位(Nanodegrees)やマイクロ修士(MicroMasters)が代表的な考え方で、オンライン等で数ヶ月、集中的に特定の分野のトレーニングを受けて、修了の証書としてナノ学位やマイクロ修士が授与されます。

私も最近、マサチューセッツ工科大学(MIT)がオンラインで提供しているデータ科学の8週間のコースを受講しようかどうかとっても迷っています。スケージュール次第なんですが。

学位の短期化に加えて、教育期間の短期化もみられます。様々なアメリカの大学では通常数ヶ月におよぶ学期(Semesters)を短くして、ミニ学期(Minimesters)を設けることによって、より必要な学習やトレーニングをフレキシブルにスピーディにできるように大学制度を改変しています。

これらのトレンドに加えて、成績も科目ごとにつけるのではなくて、スキルに応じて評価をしていくマイクロ修了証(Micro-credentials)やバッジ(Badges)も学校やその他の教育機関で流行になっています。

オンラインのコースなどで、対応する教材を修了するごとにデジタルの修了証、もしくは、バッジが授与されます。

スキルアップしたい社会人などが短期のプレゼンテーションのオンラインコースを受講したり、大学生がオンラインコースのプログラミングの単元を修了したりするなど、よりコンパクトな知識や技能を習得するためにデザインされた教材やトレーニングで使用されています。

そうしたデジタル化された修了証は大学や会社などでも評価の対象になってきています。そのため改ざん不可能なデジタル修了証が求められており、現在ではブロックチェーンの技術を使った学習修了証を提供するBlockcertなども注目を集めてきています。

プログラム化する「大学の学位」

大学では学位取得のための卒業要件が様々に設定されています。従来の卒業要件は、外国語X単位等々に、大まかな分野が設定されていて、これこれの分野で何単位などと、学生の側で自由度の高いものが主流になってきました。

自由度が高い卒業要件は、様々な関連分野に触れたり、幅広い教養を身につけ。自分の興味や必要に応じてフレキシブルにコースを受講していくことを可能にします。

しかしその反面で、生徒によっては専門が確定するまでに、不必要な分野で単位を取って無駄にしてしまったり、関連した分野でも、卒業要件に正確に当てはまらずに似たようなコースを取りなおさなければならないなど、単位取得の壁にもなってきたと考えられるようにもなってきました。

そうしたことに注目して、アメリカの大学で導入が進んでいるのが、メタメジャー(Metamajor)とガイディッド・パスウェイズ(Guided pathways)のシステムです。

メタメジャーはいくつかの関連した分野をまとめて専攻として選べるので、ひとつのコースを取っても、それをいくつかの異なる分野の専攻の卒業要件に使うことができます。

例えば人文学のメタメジャーで、ヨーロッパ近代史のコースを取って、それが欧米文学、欧米史専攻、などの専攻の卒業要件にカウントされうるというものです。こうすることで、似たようなコースを複数回取らなくてはいけないというような無駄を省くことができます。

大きな大学では割とお馴染みの制度ですが、アメリカでは州法などで、小さな大学等でもメタメジャーに基づいた教育プログラムを組むことが義務化されている州もあります。

ガイディッド・パスウェイは、専攻を選択した時点で、卒業までのコースの選択のプランが詳細に決まっているものです。

自分の興味に応じた学問的模索というようなフレキシビリティーは失われるものの、医者になりたい、会計士になりたい、など具体的な専門分野が決まっている学生にとっては、最も効率的なトレーニングを卒業までに受けることが可能になるわけです。

こうした制度はアメリカでの大学生の修了率が低いことを背景に導入されました。いかに効率的に学位修了に向けて生徒をサポートできるのかということを考えて、卒業制度自体を練り直した、なんだかアメリカらしいトレンドのように思えます。

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