2019年12月22日 21:11
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「公立」でも「私立」でもない新しい学校制度『チャーター・スクール』とは?

教育

アメリカでは教育に多様性ができるような仕組みがあって、地域による教育の自治の根強い文化を支えてきました。

もちろん、善くも悪くもで、山積する教育問題の中の最重要問題は教育格差で、「多様性」と「自治」を支える文化や制度は大きな矛盾とともに歩んできたともいえるでしょう。

その反面、それぞれの地域や学校で非常に多様なカリキュラムや教育プログラムを作ることが可能で、実際に、生徒のニーズにあった教育が実現されているコミュニティーも多く存在します。

私の運営しているオンライン高校は、私立ですが、その中の独立系と呼ばれる私立校として認可を受けています。認可を受けている団体も、政府と独立した民間団体です。

15年ほど前からオンラインの学校を設立できて、カリキュラムや教育方針などもまさに「独立」した形で、自分たちの教育理念に沿って作っていけます。オンライン高校の必修は「哲学」だという例も以前にこのブログで紹介しました。(https://tomohirohoshi.com/?p=299

アメリカの柔軟な学校制度の目玉として、ちょっと前に注目されたのが「チャーター・スクール」という学校制度です。

今回のブログでは、最近のEdWeekの記事(https://www.edweek.org/ew/articles/2019/04/18/many-online-charter-schools-fail-to-graduate.html)から、オンラインのチャータースクールの問題について、みていきたいと思います。

チャーター・スクールとは?

民間の団体が政府に申請して学校を設立、運営することができるのがチャーター・スクールの制度です。

「成績がXXになる。」「卒業率YY%。」などなどの教育成果等に関する達成目標、「チャーター」に基づいて、政府から公的資金の支援を受けて、学校を運営していきます。

チャーターが達成できなければ、支援や学校の認可が取り消しになります。

公的資金が投入され、政府等にチャーターに基づいた認可をうけるという点において、公的な学校なわけですが、他の「公立学校」のように、カリキュラムやプログラムなどの制約を受けません。その意味では、通常の「公立学校」ではないわけです。

また、公的資金に基づいて認可、運営されるという点で、アメリカでいう「私立学校」にも当たりません。

現在アメリカ全土で、7000以上のチャーター・スクールがあり300万人以上の生徒が在籍しています。

アメリカ全体の初等中等教育の規模が、学校12万、生徒5500万人なので、学校数生徒数ともに、全体の4―5%弱を占める規模になります。

近年では、オンラインのチャーター・スクールが激増しており、チャーター・スクールの12%ほどがオンライン学校です。

チャーター・スクールの問題点。生徒の半数が「落第」する!?

近年指摘されているチャーター・スクールの問題点は、生徒の卒業率が低いということです。

なんと、全米で4分の1のチャーター・スクールで、生徒の半分以下しか卒業できないという結果がでています。つまり生徒の半分以上が「落第」するわけです。

公立の高校でいうと、アメリカ全土で、そういった学校は3%です。(もちろん、この「3%」を低いと捉えるとどうかは微妙ですが、チャーター・スクールの問題点を浮き彫りにするには十分でしょう。)

しかし、さらに驚きなのは、オンラインのチャーター・スクールです。

なんと半数以上の学校で、半分以上の生徒が落第しているといいます。

統計だけでいうと、オンラインのチャーター・スクールは、要注意ということになります。

この背景にはいくつかの本質的な問題がからみあっていると私は考えています。

• オンライン教育の問題:修了率が低いのは、MOOCなどのオンライン教育プラットフォームで問題視されてきました。生徒と教師、生徒と生徒がサポートし合う真のコミュニティーを作らないと、良い学習環境ができず、最後まで目的を修了できない生徒が増えます。

• 営利企業の参入で効率重視:特にオンラインのチャーター・スクールは営利企業がバックアップしている場合が多いようです。そうなるとビジネス効率がどうしても重視されがちで、教師数減→生徒数増→生徒のサポート減の帰結をもたらしかねません。

• 元々伝統的な公教育で落第した生徒の救済:オンラインのチャーター・スクールを経営する団体の中には、落第率の高さは、もともと地域の公教育で修めるべき教育を修められなかった子供たちのための学校だからである、というところも見かけられます。そうした子供たちの落第率が元々低い中で、オンラインの学習の難しさが相まって、オンラインのチャーター・スクールの問題につながっているといいます。

自由度を高くして、学校の多様性を促すチャーター・スクールの制度。素晴らしい学校が出てきている一方で、課題も山積みです。オンラインの学校に関しては、認可基準を強化したりするなどの法整備が急がれています。

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