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テクノロジーの加速的な進化は「教育」にどう影響していくのでしょうか?

教育
なぜ、私がアメリカでオンライン教育を手がけているか?

「オンラインで高校の哲学カリキュラムを作ってみないか?」

大学院時代の友人が私に紹介したのは、スタンフォード・オンライン高校の立ち上げのプロジェクトです。オンライン高校の必修カリキュラムが哲学ベースのもので、その一部を担当しないかというものでした。

私がアメリカに渡った2000年初頭には、シリコンバレーのベイエリアを中心に、オンライン教育が爆発的に拡大し、一つのピークを迎えようとしていました。

そんな中にあり、オンライン教育のトレンドに触れられることはとても刺激的で、二つ返事でプロジェクトに参加しました。それからあっという間に月日が流れて今に至ります。現在、世界中でオンライン教育のトレンドが拡大しています。日本でも様々な形で取り入れられてくるようになりました。

ここでは、アメリカのオンライン教育のこれまでとこれからの展望をかいつまんで紹介してみたいと思います。

オンライン教育のこれまでの歴史

90年代頃からフェニックス大学(University of Pheonix)などを皮切りに大学レベルで様々なオンラインのプログラムが設立され、オンラインでの学位や単位の取得が可能になっていきました。

2000年代に入るとMOOC (ムーク)がオンライン教育のトレンドを牽引していきました。MOOCとは、Massive Open Online Courseの略で、世界中の様々な大学から無料で提供されるオンラインコースのことです。

受講者はオンラインのレクチャーや教材に、好きな時に好きな場所からアクセスでき、自分のペースで自分の必要に応じて学習を進めていくことができます。例えば、家でベッドに寝そべって、ケンブリッジの有名教授の授業を無料で受講できる、というわけです。

マサチューセッツ工科大学とハーバード大学はエデックス(edX)、スタンフォード大学はコーセラ(Coursera)やユダシティ(Udacity)などのMOOCのプラットフォームを立ち上げ、アメリカのみならず、世界中の有名大学がこぞってそれらのプラットホームにMOOCのコースを提供するようになりました。

また、AppleなどのIT企業も追随してiTunes Uなど、大学の講義の音声や動画を無料で配信するサービスを始めていました。多くの人々がMOOCなどのオンライン教育が既存の教育に取って代わる日も近いのではないかと思うようになっていました。

教育界の脇役からセンターステージに?

そうした流れの中、現在アメリカ全土で、オンライン教育は伝統的な教育方法と肩を並べる程になってきました。

アメリカの大学の全体の3分の1程度の生徒がなんらかのオンラインコースを受講しています。その半数は、オンラインコースだけで学位や単位を取得することを目指しています。

そうしたニーズに合わせて、オンラインの大学の数も格段に増え、それと同時に、既存の大学もオンラインの学位を提供するプログラムを設立するのに躍起になっています。中学や高校も例外ではありません。

オンライン学校が飛躍的に増え、一方で、既存の学校では、オンライン教育やその他の教育テクノロジーをどのように導入していくことができるかということが主要な課題の一つになっています。

近年のオンライン教育の躍進の背景には、アメリカの教育界の抱えてきた問題があります。まず、多くの教育機関は、生徒数の減少と教育助成金の削減に苦しんでいます。

オンラインでコースを提供すれば、場所を問わず、また、多くの生徒を上け入れることができ、教師の数を必ずしも同様に増やす必要がないので、高い経済効率を生み出すことができます。

また、アメリカでは、教育の地域格差が著しく、地域によって受けられる教育の質に大きな差があります。オンライン教育はそうした地域格差を埋めていくことができるかもしれません。

シンクロナス(同時的)なオンライン教育とは?

さて、こうして爆発的な躍進を遂げてきたオンライン教育も、ここ数年で、新たな発展の局面を迎えています。オンライン教育の最近のトレンドのいくつかをみていくことにしましょう。

まずは、オンライン教育全体が、同時的(シンクロナス)なコミュニケーションを増やす方向にシフトしていることが挙げられるでしょう。

生徒と教師がビデオ会議やTV電話の要領で直接話すことができ、オンラインでライブの授業をしたり、生徒がグループ学習をしたりできるオンライン・プログラムが増加しています。

いつでもアクセスできるMOOCなどの非同時的(エイシンクロナス)なオンラインのコースも、非同時生の良さを大方残しつつも、生徒たち同士で気楽に集まれるオンラインのスタディーホールや、 決められた時間内に教師に質問できるオンライン・オフィスアワーなど、シンクロナスな要素を少しずつ取り込んできています。

そのような流れの背景には、MOOCなどのエイシンクロナスなオンライン教育の修了率、到達率の低さがあります。MOOCのオンラインコースを最後まで修了する生徒が2割にも達しないという結果がここ数年で明らかにされました。

MOOCの受講者は長期にわたって一人で学んでいかなくてはなりませんが、それは決して簡単なことではありません。わからない部分を教師に質問したり、生徒同士で話し合い、互いに励しあいながら進めていく。学習の根本であるコミュニケーションの重要性が再度注目されて、シンクロナスな形のオンライン教育へのシフトが進みつつあります。

新たな教育テクノロジーの導入

また、より新しい教育テクノロジーのオンライン教育への導入も活発です。例えば、バーチャルリアリティを使った教材やプラットフォームの開発に、多くのIT企業が取り組んでいます。

世界各国の遺跡や芸術作品をより身近に体験したり、ミクロの世界や生物の体の仕組みなどをより明快に可視化する。バーチャルリアリティの技術の強みをいかした教育方法や教材を創出する取り組みが始動しています。

また、オンラインコースでの生徒の進度をモニタリングする教育用のAnalytics(アナリティクス)も発展が進み、生徒の学習をより効果的にサポートしたり、オンライン教材をさらに改善していくことが期待されています。

さらに、オンラインのコースの成績表を改ざん不可能な形で各教育機関が共有する技術(Electronic Certificate、電子成績表、略してeCert)なども開発が進み、ブロックチェーンを応用したBlockCertなどは実用化され始めています。

その他にも、オンラインで試験の監督をAIで行うOnline Proctoring(オンライン・プロクタリング)などにも多くのIT企業が参入しています。

こうした教育テクノロジーの発展はますます加速度を増して、身近な教育に浸透し、教育のあり方自体を大きく改変していくことでしょう。

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