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なぜ、「受身の授業」(講義形式)では生徒のパフォーマンスが落ちるのか?

教育
いま話題の「アクティブ・ラーニング」ってなに?

教師が教壇に立ち、複数の生徒に向けて授業をする。

そんな講義ベースの授業風景は、多くの皆さんに馴染み深い授業のイメージの一部なのではないでしょうか。

実際、講義ベースの教育方法は幅広い教育の場で長期に渡り使用されてきました。教師がクラスの黒板の前に立って、教材を丁寧に説明していく。

ところどころで、演習やドリルなどの課題を与える。生徒は授業に耳を傾け、与えられた課題に取り組むことで理解を深めていく。学校において、ごく普通の日常風景のように思えます。

アクティブ・ラーニングの教育トレンドは、そうした伝統的な講義ベースの教育方法に警鐘を鳴らし、より効果的な学習を促す方法を様々に提案してきています。

日本でもだいぶ浸透してきたこのアクティブ・ラーニングの考え方を少し説明、考察してみたいと思います。

「受身の授業」(講義形式)の強みと弱み

伝統的な講義ベースの授業方法には様々な利点があります。

まず第一に、クラスの大小を問わず授業が行いやすいということが挙げられます。

特に、クラスが大きい場合でも対応が可能なため、公教育の場や、教育モデルの経済性が求められる受験塾、予備校等では広く講義ベースの授業方法が採用されてきました。

また、講師のペースで授業を進めていくことを前提としているため、教育プランを立てやすく、カバーすべき教材を効率的にカバーすることができるということも挙げられます。

特に、標準カリキュラムに沿った指導や、 情報量が多い教材を扱うときなどに適した方法であるということができます。講義ベースの授業方法には、この他にも様々な利点があり、学校教育において、伝統的で基本的な教育スタイルとなってきたこともごく自然なことなのでしょう。

一方で、講義ベースの授業の問題点は、効果的な学びを得るために必要な動機付けや、受講態度やスキルのハードルが高く設定されてしまっていることです。

講義ベースの教育環境において、生徒は他の多くの生徒と隣り合わせで学習してはいるものの、結局は、自ら授業の内容に積極的に耳を傾け、与えられた課題に活発に取り組んでいかなければなりません。

そうした自発的授業参加をするためには、高いレベルでの集中力と、何らかの形で教材や課題に対する動機付けがなされていることが必要になります。

加えて、ノートの取り方など、講義形式の授業から効率的に学習をするためのスキルを既に身につけていなければなりません。授業の題材に適度に動機付けられていて、必要なスキルを身につけていて、適度な自発的参加ができる生徒にとっては、講義ベースの授業は効率的な学習方法の一部になりうるかもしれません。

しかし、そうした条件を クリアするのは簡単なことではなく、全ての生徒に同様のやる気やスキルを前提することは現実的ではありません。理由が何であるにせよ自発的に参加できない生徒にとっては、講義ベースの授業は、ついつい居眠りをしてしまいたくなるような退屈な時間ということになってしまいます。

実際、居眠りというのもごく自然な講義ベースの授業風景の一部になってしまっていることも、この教育方法の根本的な問題を反映しているということができます。

アクティブラーニングという一つの解決策

それでは、いかに生徒の学習への積極的参加を促すことができるのか。

この問いに真っ向から取り組むのが、アクティブラーニングです。 アクティブラーニングは、生徒の参加を前提とした、参加ベースの指導方法を意識的に取り込んでいくという教育トレンドです。

教師の手短な教材説明の後に二人一組となって、理解したことを説明しあう。

与えられた議題を教師の指導に沿って、小さなグループで議論して、その後クラスに向けて結論を発表する。などなど、様々なテクニックが提案、研究されてきました。

もちろん、これまでの講義ベースの授業にアクティブラーニングの要素が全くなかったというわけではありません。

アクティブラーニングの指導方法を取り込んだ講義ベースの授業は大いに可能であり、これまでも様々な方法が採用されてきました。アクティブラーニングの考え方は、そうしたこれまでの努力をさらに推し進めて、参加ベースの学習機会をより意識的に増やすことで生徒の活発な参加を自然に促し、効果的な学習をサポートしていこうとするものとして捉えることができます。

これまでの常識を覆す「反転授業」というアプローチとは?

このように講義ベースの授業方法とアクティブラーニングは必ずしも相反するものではありません。

しかし、アクティブラーニングの方法の中には、これまでの講義ベースの教育方法を真っ向から否定して、その名の通りひっくり返す、反転授業(flipped classroom)という方法があります。

講義ベースの教育方法のもう一つの特徴は、多くの場合授業後に生徒が取り組むべき宿題が課されるということです。

授業で学んだことをいかして、問題を解いたり、作文に取り組んだりと、授業後に自主学習をする機会が与えられます。

反転授業では、そうした講義ベースの教育方法において、授業と自主学習で取り組むもの、講義と課題を文字通りフリップ、反転させるという新しい教育方法です。

授業の前に生徒はあらかじめ録音された講義を聞いたり、テキストの指定された部分を読んだりして、授業に備えて予習をおこないます。

実際の授業では、そうした生徒の予習を前提として、教師が該当教材を網羅的に講義することはなく、生徒たちが関連した問題に取り組んだり、教材をディスカッションしたり、グループ課題に取り組んだりという参加型のクラス活動が行われます。

欧米で認知度が高く、日本でも導入されつつあるこれまでの講義ベースの教育方法とは異なる教育方法です。

反転授業やその他のアクティブラーニングの手法は続々と日本の教育現場にも導入されつつあります。

これまでの伝統的な教育方法の利点を保ちながらも、より適切で効果的なアクティブラーニングの手法をいかに組み合わせながら最適な学習環境を作り上げていけるかということが、最近注目の一つの教育課題になっています。

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