【脱ドリル偏重学習】速く計算できることと数学ができることは違う。
学習ドリルは、多くの子供にとって身近な学習の日常です。
足し算、引き算、図形、文字の練習、特定のキャラクターをあしらったもの。世界中で様々な学習ドリルが存在し、教育者や保護者、子供たちが手にとります。
各ページに似たような問題が並んでおり、繰り返し解いていくことによって、スキルや知識を身につけていくことが目的で、特に幼児や小学校などの教育で用いられ、様々な学習効果が確認されています。
しかし、この「似たような問題を何度も繰り返し解いていく」という当たり前の学習方法が近年見直されようとしています。
どうしてなのか。それではどんなやり方をしたらいいのか。
今回は「脱ドリル偏重学習」についてお話ししていきましょう。
そもそも、反復や速さに重点を置くことの意義とは?
似たような問題を繰り返し解くことは、学びに欠かせないプロセスであることは間違いありません。
しかし多くの学習ドリルは、反復や反復する速度を強調しすぎています。
同じような足し算を20回も繰り返しやることに、どのような学習効果が期待されているのかをじっくりと考えてみる必要があります。
足し算が正しくできるだけではなく、ある程度の速さを持ってやれるようでなくてはいけない。10回ではなく、20回、またはそれ以上やることで、その問題に「慣れて」素早く解いていくことができる。
同じような問題を解くことで、そうしたパターンを記憶することができ、より速く答えを出していくことができるようになるのは確かのようです。
しかし、単純な計算や記憶問題を素早く答えていけるような能力だけでは、理解力や思考力は高まりません。
むしろ、同じような問題を同じような考え方で解いていく癖がついてしまい、柔軟な考え方や、違った視点で物事を見ていく姿勢が欠如してしまいがちです。
また、同じような問題が目の前に大量にあることで、圧倒されてしまい、勉強嫌いを助長してしまうこともあります。
学習ドリルは大切ですが、やりすぎには注意しましょう。
親も子供も、量が多い問題をはかばかしく進めていくことで、学習の進度が実感できるので、ついついドリルに頼りがちになってしまうこともあります。
しかし、問題を解いた数とか、めくったページの数が多ければ、多い学びがあったということでは決してありません。問題なのは、いかに効果的な学びが得られたかです。
「多くの問題を解く」よりも『少なくいろんなやり方』で
こうした観点から、通常のドリル学習の一部を違ったやり方にしてみることをお勧めします。
一つ有名な学習方法として、それぞれの問題を違う方法や考え方で解いていくというやり方があります。
例えば、算数で言うと、20問同じような問題を解くのではなくて、5問でいいので、その5問のそれぞれを4つづつ違う解き方で解いていくようなイメージです。
このやり方は、以前こちらのブログでも紹介した、ジョー・ボーラー(https://tomohirohoshi.com/?p=945)が著書の「Limitless Mind」の中で紹介しています。
その本からの例を下記に写真に載せておきました。
写真の上部にあるのは、私たちが見慣れたドリルのイメージです。似たような20問の割り算が並んでいます。
下が、50➗8という問題を4つの違う考え方で解いた生徒のノートです。
真ん中に50➗8という問題があって、四方向にそれぞれ違った考え方の図解や説明が書かれています。
違った考え方で同じものを理解しようとすることで、学習の効率が上がることが脳科学的にも実証されてきました。
また、一つのことを違うやり方でできるようにしておくことで、柔軟な考え方ができます。
一つのやり方で行き詰まっても他のやり方を試してみようとする癖がつくのです。
それから、常に違ったやり方を模索する考える心の習慣も養っていくことができます。
20問づつガンガン解いて、進んでいくことで、はかばかしい。ページをめくって、進んでいる気がして、やる気につながる。
そういうことも大切でしょう。
しかし、何事もバランス、考える力や深い理解は反復練習を素早くこなしていくことだけではできません。多様性のある学び方を取り込んでいくことを心がけましょう。
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