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【21世紀型の教育】完全習得学習(マスタリーベースト・ラーニング)をご存知でしたか?

教育

得意な科目は何だったでしょうか?国語、数学、理科、社会、最近ではその他にもいろいろな科目が様々な形で学校教育に導入されてきています。

これまであった科目を横断的に扱うインターディシプリナリー(分野横断的)な科目の導入も多くみられます。その一方で、科目にとらわれず、必要なスキルや能力に注目した学習に力点を置いたマスタリーベースト・ラーニングのトレンドが、アメリカでは大きな広がりを見せています。

なぜ、学校教育は「社会では役立たない」と懸念されるのでしょう?

近現代には大学制度が発展し、個々の学問の分野が一つの専門分野として確立し、大学での学部などとして制度化されていきました。

それとともに、各専門分野もさらに細分化し、それぞれの分野で知識や教育の体系化が図られてきました。それとともに、公教育における授業科目も確立した専門分野に細分化し、各科目でより専門的で体系化された知識が教えられるようになっていきました。

学問の専門化と制度化の流れとともに、近現代教育も科目化と専門化されてきました。社会での必要性に応じた学問の発展と専門化に付随して、適切な知識やスキルをもった人材を育成するため、教育が同様に専門化されていくことは、ごく必然的な現象と見て取ることができます。

しかし、教育における極度の科目の専門化は、学校での学習と社会で実際に必要とされる知識やスキルの習得との間に乖離を引き起こしてしまったのではないかという懸念が、共有されることもあります。

例えば、中等教育において、大学へ進学すること以外の目的で、社会において役に立つようなスキル、もしくは、人間として備えておくべきスキルを、生徒たちはしっかりと習得(mastery)しているでしょうか?「学校で優等生だったけど、仕事ができない。使えない。」「因数分解なんて、俺の人生で使うことがない。学校で習ったけど、無意味だ。」

学校教育と社会的必要性がかけ離れてしまっているのではないかというような懸念は、日本の受験戦争への懸念の一部としてしばしば耳にします。日本以外の教育現場でも、全く珍しいものではありません。専門化した教育科目の個々の知識が、どのように社会的に必要なスキルと関連しているのか。学問や教育の科目化や専門化が進めば進むほど、一定の専門知識と必要なスキルとの相関の自明性が失われていってしまうのです。

「完全習得学習(マスタリーベースト・ラーニング)の考え方」について解説

専門科目をベースにした教育方法を見直して、生徒の習得したスキルや能力などに焦点をおいて教育方法を考えていくというのが、現在アメリカでも急速に発展してきたマスタリーベースト・ラーニング(mastery-based learning)という教育トレンドです。

直訳すれば、習得ベース学習ということになるでしょうか。英語や数学の専門科目を念頭において、それらの科目での専門知識を学習するというやり方ではなく、読書能力や、文章力、数理的思考などのスキルやその他の能力、知識を習得するということに焦点をおいた教育方法です。

例えば、国語の期末テストの点が95点だったので、国語の成績が5になった、云々という科目単位の評価は、これこれの課題で、読書能力の習得が5、数理的思考が2などといったように、スキルや能力ベースの評価に置き換えられます。

さらに、そうした習得ベースの評価に基づいて、個々の生徒のスキルや能力を高めたり、足りない部分を補ったりできるように、生徒に合わせた学習課題を調整していきます。

そうした形で、生徒のスキルや能力の習得に合わせて学習条件を最適化していくのがマスタリーベースト・ラーニングの基本となる考え方です。

マスタリーベースト・ラーニングは、生徒の個々のニーズに合わせた学習を提供するパーソナライズド・ラーニングの考え方と合わせて議論されます。(パーソナライズド・ラーニングについてのブログポストも参照ください。)

個々の生徒の各スキルの習得度を分析して、伝統的な科目に必ずしもとらわれることなく、現在のスキルや能力に対応した形で カリキュラムを個人化することにより、 さらなるスキルや能力の向上を促す。

伝統的な教育の単位である専門科目を考え直すことによって、よりきめこまやかで、より実のあるスキルや能力に焦点を置いた教育を目指す潮流が、マスタリーベースト・ラーニングの教育トレンドによって象徴されています。

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