【まえがき全文公開!】なぜゲームをすると頭が良くなるのか
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『なぜゲームをすると頭が良くなるのか』
はじめに
ゲームが脳と心を変える!アメリカのFDAもお墨付き
Facebookで有名なアメリカ Meta社の商品「Quest」(クエスト)をご存じでしょうか? バーチャルリアリティー(VR)のコンテンツを楽しむことができるヘッドセットです。
そのVR空間の中でプレーできる、「Zengence」(ゼンジェンス)というゲームがあります。攻め寄せてくるお化けを魔法のビームでやっつける、いわゆる「FPS」(ファーストパーソン・シューティングゲーム)で、魔法ビームのコントロールを自分の呼吸や声で調整していくのが特徴のゲームです。
その点を除けば極々普通のFPSとも思えますが、このZengence、非常に画期的なゲームで、さまざまなメディアでニュースとして取り上げられています。
なぜならそれは、VRのゲームであるにもかかわらず、アメリカの連邦機関であるFDAに高血圧の治療法として認可されたからです。
FDA(Food and Drug Administration)はアメリカの連邦機関で、食品、医薬品、医療機器、化粧品などの安全性と有効性を保証するところです。「アメリカのFDAがファイザーのコロナワクチンを認可した」などとニュースで聞いたことがあるのではないでしょうか? 日本でいう厚生労働省の役割を果たしています。
治療法としてFDA認可を受けているゲームは、Zengence だけではありません。ゲームの脳への良い影響を示す研究がここのところ蓄積されてきています。Zengence のゲームのデジタル治療法としてのFDA認可は、そうした研究の一つのマイルストーンであったことは間違いありません。
開発元「DeepWell DTx(以下 DeepWell)」のCEOであるライアン・ダグラス氏の以下のコメントが印象的です。
ゲームに深く没頭しているとき、私たちは非常に高速なペースで学習することがわかってきました。
ですから、私たちは、ゲームによって、人々を楽しくて熱中する状況に導いて、脳の中で記憶の統合プロセスを起こし、新しい神経回路が作られる機会を提供したいのです。
いいのか?悪いのか?科学がゲームの真実を解き明かす
本書のテーマは「ゲーム」です。
パックマン、スペースインベーダーなど、世界的な人気を博したアーケードゲームから1970年代~80年代のゲームの黄金期が始まりました。そのころからすでに欧米では、ゲームに関する科学研究が分厚く積み重ねられてきました。
その間、ゲーム自体も急速に進化。マイクラ、フォトナ、ポケモン、マリオ、ドラクエ、エフエフなどのゲームが、インターネットやメタバースなどの新しいテクノロジーを使って進化し続けています。
仕事に勉強に忙しい中、ストレス解消、暇つぶし、気軽なエンタメを求めて、スマホやPC、ニンテンドースイッチなどの専用デバイスに手が伸びる。全世界のゲーム産業は合計で60兆円超。全人口80億のうち26億人ほどがゲーマー。そして、実に、インターネット使用者の10代から40代の8割以上がゲームをしていることもわかっています。
だから、老若男女を問わず誰もがゲームにハマるのはごく自然で、たとえ自分がハマらずとも、ごく身近な誰か、たとえば、自分の子どもがハマっている─ 。
もはやゲームを完全に避けて生きていくのは困難な時代だといっていいくらいです。
そこで、本書の目的は、最新の脳科学と心理学の研究から、知られざるゲームの真の効果を検証していくことです。
ゲームが溢れる現代社会を生き抜く力として、上手なゲームとの付き合い方を、わかりやすく解説していきます。
年に700時間はやりすぎ?
遅ればせながら、この本を手に取っていただきありがとうございます。スタンフォード大学オンラインハイスクール校長の星友啓(ほし ともひろ)です。
もう20年近くも、テクノロジーと世界の教育のフロンティアでチャレンジを続け、近年、オンラインの学校でありながら、全米トップ校の一つとして認知されるようになりました。
そういった仕事柄、世界屈指のスタンフォード大学という「地の利」も活かして、最新の脳科学や心理学から、勉強や仕事に役立つ情報を厳選して、教育や仕事の現場に発信してきました。
そんな中、ゲームに関する以下のような悩みをよく耳にします。
ついついハマりすぎて、ちょっとした睡眠不足に。そんでもって、仕事不足に、勉強不足も。
ゲームに費やした時間を他のことに使っていれば……。そんなことわかっちゃいるけど、それでもやめられないのが悩みの種なわけで……。
子どものゲームやりすぎが心配。お小遣いを全部ゲームの課金に使うなんていうのは当たり前。
ゲームに費やす時間とリソースを勉強に費やしてほしい! ゲームのせいで、やるべきことをやらないから、育つべき能力も育たないんじゃないか?
実に、ティーンエイジャーでいえば、毎日平均2時間ほどゲームをしており、年間でいえば、700時間以上。つまり、1カ月まるまる寝ずにゲームだけをやり続けるほどの時間を費やしている計算になります。
そしてもちろん、年間700時間あれば、新しい外国語を日常会話レベルまでマスターしたり、数々の資格試験を突破することだって可能です。
これって、ゲームのやりすぎじゃないの? うーん、そもそも、どこからがゲームのやりすぎなのか?
適度にゲームをやるための科学的方法
いやいや、やりすぎかどうかじゃない! ゲームは悪に決まっている! 愚かなエンタメで時間を無駄にしてはいけない!
いっそのこと、思い切ってゲームをゼロにしてみてはどうか?
いえいえ、本書でじっくり科学的エビデンスを示しながら解説していきますが、ゲームを無理にゼロにするのは絶対にダメです。一気にゲームをやめるのは、逆効果どころか、心のリスクにつながってしまいます。
それに、ゲームをやめてしまっては、ゲームが持っている良い効果を活かすこともできなくなってしまいます。
誰もがゲームに触れるこの世の中。まずは、科学的に明らかにされた、ゲームの効果を理解しなければなりません。
それから、やりすぎないで適度に済ませられるようなメソッドも身につけておかなければなりません。
次のようなトピックに興味や疑問をお持ちの方は、ぜひ本書を読み進めてください。
・ゲームは記憶やワーキングメモリをアップ
・ゲームで人間関係やウェルネスもアップ
・「ゲーム禁止!」がダメな理由
・ゲームのいい効果を活かすための攻略法
・ゲームにハマりすぎる人の特徴
・正しいゲーム時間の減らし方
・ゲームが変える教育、医療、ビジネスの未来を知りたい
本書では、これらのトピックとともに、ゲームの脳や心への影響を科学的に解剖し、ゲームと社会のあり方の未来を考察していきます。
・ゲームにハマるビジネスパーソン
・受験とゲームを両立したい学生さん
・子どものゲーム時間が気になる親御さん
・社員のモチベーションを上げたい管理職の方々
・日々子どもたちをサポートする教育者
・脳科学や心理学の豆知識が気になる愛読家
本書を読んでいただければ、読者の皆様それぞれのニーズに合った情報やヒントが必ず見つかるはずです!最新のゲームの科学の知見をぜひお役立てください!
『なぜゲームをすると頭が良くなるのか』
目次第1章 できる人こそゲームを楽しんでいる
- グローバル起業家はゲーム好き?
- ゲームで海馬が大きくなって、活性化する
- 「ゲームは悪影響」の科学的検証
- やらないよりもやったほうがいいこれだけの理由
- 僕たちがゲームにハマる科学的メカニズム
- ゲーミフィケーション・シリアスゲームってなに?!ゲーミフィケーションはもう古い
- アメリカFDAが認可するゲーム治療法
第2章 もはや科学の常識!ゲームで頭が良くなる
- インベーダーゲームで空間認識能力アップ
- アクションゲームは理系の力を育てる
- ゲームは脳にいい!脳科学も太鼓判
- マルチタスクの能力も上がる
- ゲームで脳が若返る
- RPGで問題解決能力アップ
- 「やればできる」の成長マインドセット
- ゲーマーはクリエイティブ。21世紀スキルが高い
- 科学者が解けない難問をゲームとゲーマーが解決
第3章 ゲームが犯罪者を生む?都市伝説を科学が論破
- コロンバイン高校銃乱射事件はFPSが原因?
- ゲームと暴力の科学的研究
- イノベーションへのネガキャンは世の常
- ほどよいゲームで成績が上がる
- テレビやゲームで集中力は下がらない
第4章 ゲームが「ポジティブループ」を生む
- ゲームにハマりすぎる人の特徴って?
- 一人ぼっちでゲームはできない
- やらないより、やったほうがいい科学的理由
第5章 こうやって付き合うべき!科学的ゲームの攻略法
- DNAがゲームを求めている
- ゲーム中毒の自己診断リスト
- ゲーム中毒の原因はやりすぎではない
- 何時間までやっていいのか?科学的な答えはこれ
- 0歳から5歳は要注意
- 「ゲーム禁止」は禁止
- ゲームの代わりの見つけ方
- ゲーム時間の科学的な減らし方
- 友達とのコラボ型が最高のゲームプレー
- 対戦ゲームのフローでストレス解消
第6章 「ゲームは遊び」は古すぎる!シリアス・ゲームが世界を変える
- 教育×医療、メタバース。横浜が熱い!
- ゲームが病気を治してくれる
- 「DeepWell」ゲームを治療薬に変える魔法
- 勉強するならシリアス・ゲーム
- ビジネスでも広がるシリアス・ゲーム
- なぜ今ゲームが必要になっているのか?
- やる気が失われる理由
- 厄介なやる気と持つべきやる気
- ゲームが世界を変える理由
おわりに

