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【世界中に急速に広がっている?】「学習の分散化(ディストリビューテッド・ラーニング)」について解説

教育

英会話や、習い事の類もオンラインを通して、さらに手軽になってきた。それどころか、オンラインで学位が取れたり、無料で有名教授の講義を聞いて課題をこなし修了証書を得たりもできる。急速に発展する新しい学習の機会を皆さんも割と身近に実感されているのではないでしょうか。

現在、いくつかの教育トレンドが世界中で急速に発展しています。例えば、オンライン教育は質の高い教育コンテンツを安価で世界中からアクセスすることを可能にしてきました。

パーソナライズド・ラーニング(過去の記事で詳しく解説しています。詳細はこちらをクリック)やマスタリーベースト・ラーニングは、適切なスキルや能力を習得できるよう学習条件が生徒のニーズに合わせた形で最適化することを目指します。

そうした流れと呼応しながら、教育テクノロジー産業が急速に拡大し、学校等の既存の教育機関の枠を超えた新しい学習機会が広く提供されるようになってきました。

学習の分散化=選択肢の広がり

既存の教育機関を超えた教育の選択肢の増加は教育や学習の分散化を促進します。「学校じゃなくてもオンライン教材でタダで勉強ができるし、学校の先生よりもわかりやすい。」「オンラインで、学校の先生なんかよりも、お偉い教授の講義を聞くことができる。」「プログラミングは学校ではあまり教えてくれない。」「リーダーシップのスキルは学校のおままごとより、オンラインのトレーニングにしたい。」「私のやりたいことは、学校で学ぶ必要がないし、そうじゃないほうがいい。」あれはこっちのオンラインプログラム、これはこっちの学習会社、などなど。

生徒たちは複数の学習や技能習得の選択肢に触れ、自分の環境やニーズに合わせた自分のための学習プログラムを作り上げることができるようになっていきます。

こうした教育の分散化、また、それに合わせた学習者の学習の分散化をさして、ディストリビューティッド・ラーニング(Distributed Learning)と呼ばれることがあります。そうした教育や学習の分散化は世界各国で急速に進んでいます。

凄まじいテクノロジーの変化に「教育制度」は追いつけるのか?

ディストリビューティッド・ラーニングの流れの背景には、教育テクノロジー産業の発展以外の要素もあると考えられます。技術革新、グローバライゼーションが急速に社会を変容させる中、その速度に社会の制度がどれだけ追いついているかということがしばしば問題になります。

変わりつつ社会と法整備、技術革新に対する私達の倫理的及び文化的意識の変化等。電気自動車、スマートフォン、遺伝子編集、自動運転者、人種的多様性、社会的流動性。社会は急速な変容とともに、新たなる方向性を常に模索し続けなければなりません。 そうした速度に対して、教育はどれだけフレキシブルに変容していけているのでしょうか。

公教育を含めた既存の教育の枠組みは基礎的な社会のインフラの一部です。社会インフラの急激な変化は、関連する様々な社会の仕組みの変化を余儀なくするため、現在技術革新のとげるような急激な変化に対応できるスピード感を期待できないかもしれません。

また、重要なインフラの一部であるがゆえ、社会の急激な変化に対して、ある程度の耐性がなくてはいけないということもできるかもしれせん。

しかし、社会が急激に変容し、必要とされるスキルや能力が目まぐるしく変化していることは否定できない事実です。教育インフラに急速な変化が期待できないとするならば、どのようにして必要なスキルを身につける機会を急速な社会の変容に合わせて作っていくことができるのか。

公教育等の既存の教育インフラが変わりにくくても、新興産業としての教育テクノロジーの分野はより柔軟に変化することができ、また、事実そのように発展してきました。

そうした背景の中、既存の学校制度の枠組みの良い部分を活かしながら保存しつつ、急速な社会変動による新しいニーズは周辺の教育テクノロジー産業において補っていくという流れが、現在のディストリビューテッド・ラーニングのトレンドの加速につながっていると考えることができます。

ディストリビューテッド・ラーニングは「教育の未来」をどう変えるか?

目的に合わせた学習やスキルアップのために、学校以外の学習の選択肢をとりいれていけるようになることは歓迎されるべきことである一方、加速するディストリービューティッド・ラーニングの流れの中で私たちが取り組んでいかなければならない課題も数多く存在します。

例えば、一つ問題になるのが、どのように生徒の学習成果や技能習得を認定していくかということです。従来学校等の既存の教育機関では、卒業証書や単位などにより、包括的な学習成果の認定が行われてきました。

一方でディストリービューティッド・ラーニングが拡大した環境においては、生徒は学校以外に様々な機関から学業証書や技能習得認定書を受理することになります。

このオンライン語学プログラム英語のスピーキングのコースを3つ、リーダーシップトレーニングはあっちで、経営学の3年分はこっち、云々。それぞれのスキルはまったく違う教育機関から認定されることになります。

そうした場合、生徒を雇う会社は、どのように生徒の学業成果や技能習得度の認定書を評価すればいいのでしょうか。分散化した学習環境で、個々の認定書の信ぴょう性を判断していくには、大変なコストがかかります。

卒業証書や幾つかの統一テスト、資格等を、大幅に超える多様な学習、技能認可が、ディストリビューティッド・ラーニングの拡大した環境では混在していくことになるからです。

このような視点から、マサチューセッツ工科大学発進で、BlockCertsという学業認定証書のシステムが開発されました。各教育機関、教育テクノロジー会社が発行した学業修了書やトレーニングの認定書をブロックチェーンの技術を駆使して、改ざん不可能な形で認定していくという技術です。ブロックチェーン(Blockchain)と認定証書(Certifications)からの造語で、BlockCertsというわけです。

さらに、ディストリビューティッド・ラーニングが広がるにつれ、私たちは社会における学校の役割というものを再定義していく必要に徐々に迫られていくことでしょう。

必要な時に、必要なだけ、必要なことを、より経済的に効率的に学ぶことができる。ディストリービューティッド・ラーニングのトレンドとともに、そうした社会が何らかの形で実現するのは、そう遠い未来ではないでしょう。

そうした状況の中で、学校が果たすべき役割はどのようなものになっていくのか。現在の教育インフラはどのように変容していくべきなのか。ディストリビューティッド・ラーニングの潮流は争えない事実で、ことに教育に携わるものは、この問題を真剣に受け止めて、今の段階から考えていかなくてはなりません。

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