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女子中高生が特に危ないらしい。いま、10代の子供たちに迫る『2つの危険因子』とは?

現地取材

※本記事は、都市封鎖(ロックダウン)される前に執筆された内容になります。

今年も全米独立型私立校のカンファレンスにいってきました。

年に一度の最大級の中等教育のカンファレンスなので、基調講演の演者が今年も素晴らしかったです。

特に、楽しみにしていたのがジョナサン・ハイド教授です。

世界的に活躍するニューヨーク大学ビジネススクールの心理学者です。

世界トップの「グローバル思想家」、「世界思想家」、世界最高の「心理学者」二十五人などに選ばれてきました。

若者が危ない!特に女子の中高生

ハイド教授の講演は、いまアメリカでは「GenZ」と呼ばれる世代の子供達が危険にさらされているというところから始まりました。

アメリカでは世代による生活や傾向の分析が人気で、Gen Zは1997年から2012年に生まれた人たちのことを指します。

今ちょうど小学校高学年から大学生のあたりの世代です。

主に現在ティーネイジャー、10代の学生たちの世代をイメージしてもらったら良いかと思います。

ハイド教授によると、現在のティーネイジャーの世代で、精神疾患、身体障害、学習障害やADHDの数、さらに、うつ病の件数や、自傷の件数、自殺の件数などすべて極端なほどに明らかな増加を見せています。

下記に、講演からのパワポをいくつかペースとしてみましたが、それらのグラフからお分かりいただけるように、Gen Zが中学に入学する2010年以降、グラフの数値が明らかに増加していっています。

しかも、これが、アメリカに限ったことではなく、多くの先進国で見られる現象だというのです。

また、特に、女子生徒のうつ病や自傷件数がことさらに増えているということでした。

原因は「ソーシャルメディア」にある?

ハイド教授はこの現象が起こっていることの原因の一つが「ソーシャルメディア」であると主張します。

Gen Zが10代に差し掛かる頃の2006年に、Facebook、2007年にはiPhoneが登場します。2009年には、Facebookにおいて、「いいね」ボタンが登場し、Twitterでは、リツイートが可能になります。

これによって、全員が全員を評価して、一旦公表された情報は拡散しやすく収拾不可能という現在のソーシャルメディアの状況が形作られました。そして、2009年から2011年くらいで多くの10代の子供達がソーシャルメディアを使用し始めました。

上のそれぞれのグラフでも、2009年から2011年を皮切りに数値が増加して、現状が悪化してきていることがわかります。また、そうした現状を踏まえて、ソーシャルメディアがもたらす健康や精神への影響も詳しく研究おり、が進んできました。

また、特に女子に影響が強く出ているというのは、男子と女子のテクノロジーとの触れ合い方の左にあるようです。男子がゲームなどをより好む傾向が強いのに対して、女子はより長い時間ソーシャルメディアに向かうということです。

女子の方が、見た目やグループ内での関係に、よりつよく執着するという傾向が児童心理学的にも根拠づけられてきたようです。

もう一つの危険因子は「過保護」

ハイド教授によると、ソーシャルメディアの他に、もう一つ原因があるといいます。それは、親や社会による過保護だといいます。

ニーチェは「私たちを殺さないものは、私たちを強くする」という格言を残しました。人間は多少の痛みや、苦境の中から生きていくための力や学びを得るという意味です。

子供達の成長も同様です。多少の擦り傷や怪我、仲間の間での揉め事、彼らなりの悩みも多くあります。

そうした怪我や喧嘩、悩みなどは、より大きな自体に発展しかねません。

そのため、現代の教育や社会は子供達へのそうした危険性をどんどん取り除いていくという傾きに支配されています。そうした流れが理解しやすい反面、これまで子供達にあった自然な学びの機会がさらに失われつつあります。

しかし、子供達はアンチ・フラジャイルな存在だ、とハイド教授は主張します。

「フラジャイル」とは「脆弱」であるという意味で、「アンチ」は「反対」という意味です。

ナシーム・タレブの造語で、ベストセラー著書を通して有名になりました。

子供はアンチフラジャイルだというのは、子供達は弱い存在であるが、痛みやネガティブな経験から学んで成長していく存在だ、という意味です。

そうした痛みや苦しみを必要以上に取り除いてしまう傾向が現在の教育、社会、また、親の子育て方法には、みられるとハイド教授は主張します。

私たちが10代の子供達にできることは?

こうした二つの原因を考えた上で、私たちが10代の子供達にできることはなんでしょうか。

ハイド教授によると、まず、スマホの使用の時期を遅らせることだといいます。

高校までは使用をさせないことがベストだということがいくつかの研究で示されてきています。

もちろん、他の子供が使っているのに、自分の子供だけ使わないということが問題になってきます。

そういう時には他の生徒の親と相談してみたり、学校や、学区の単位に働きかけて、学校でのスマホの使用の環境を見つめ直して行ったりする方向に進んでいかなくてはなりません。

また、社会における過保護の問題については、親のひとりひとりが自分から初めて、そうした傾向が現在の教育や社会には存在することを再認識することが大切です。

安全や安心は大切だが、本当に必要な処置なのか、やりすぎではないか、より生徒の自主性や主体性を発揮できるようなサポートの仕方はないかなどを、より真剣に考えなくてはいけないわけです。

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