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ノートを取ると成績が下がる!?絶対知っておくべきノートとの正しい向き合い方

研究

授業やレクチャー、プレゼンや会議でしっかりノートをとる。

何かを学んだり、理解しようとするときに、誰もが意識する、ごく当たり前のルーティーンの一部ではないでしょうか。

しかし、その「ごく当たり前」には、思いも寄らない危険が潜んでいるのです。

今日のブログでは、最近の脳科学研究などでわかってきたノートの学習効果とその危険性と、それをふまえた、最も効果的なノートの取り方をご提案していきたいと思います。

なんでノート取るの?

そもそもなんでノートを取るのでしょうか?

もっともスタンダードな理解としては以下のようなところがあげられるのではないでしょうか?

1. 見直し:後で見直しするため
2. 記憶:書くことによって身に付く
3. 集中:書こうと思うことで話に集中できる

どれも説得力があるようですが、じつはこれらのどの目的にも「授業中にノートを取る」ことが最適ではないことがわかってきたのです。

ノートの見直しは最適の学習方法ではない

ノートを取っておいて、それを見直すことで復習する。ノートを取ることで身につきやすくなる。

そうした効果がまったくないわけではありませんが、ノートを取ることが復習や記憶の目的にベストなやり方でないことは、かなりはっきりしてきました。

最近出版された著書「スタンフォードが中高生に教えていること」でも触れていますが、見直しや書きうつし学習よりも、はるかに効果的なのは、「記憶の呼び出し」だということがわかっています。

「記憶の呼び出し」英語では「retrieval」といわれ、最近の学びの科学では主流のトピックになっており、学習効果の研究が蓄積されてきました。

学んだことの記憶を文字通り呼び起こす機会を増やすことが肝心です。

教える側の視点から言えば、期末テストなどの大きなテストだけでなく、授業中の小テストなど様々な「記憶の呼び起こし」の機会を頻繁に、より意識的に作っていくことが必要です。

また、自分で学ぶべきことを復習しようとするときに、すぐに、ノートやテキストなどを見直ししようとするのではなくて、まずは、何を学んだかを思い起こすことから始めるのが効果的です。

「何を学んだんだっけ」と漠然と「記憶の呼び起こし」をするのも最初は難しいので、後で効果的な復習ができるように、自分自身で、学んだことに関していくつかの質問を作って、「小テスト」を準備しておくのもおすすめです。

そうした「小テスト」以外にも、テキストを読んでいたら、セクションごとに、そこに書いてあったことをテキストをみないで思い起こしてみたり、授業が終わった後にその授業の要点を思い起こすことが非常に効果的です。

「ノート取り」はワーキングメモリーをオーバーロードしてしまう

ノートの見直しが復習や記憶に最適でなければ、授業やプレゼンなどに集中する道具としてはどうか?

これに関しても、かなりはっきりした答えが出てきました。

私たちの脳には現在意識していることを「短期記憶」しておく、ワーキングメモリーの役割があります。

今先生が言ったことを意識したり、それを意識に留めたり、言われたいくつかのことを組み立て直したり、組み合わせたり。それらは、脳のワーキングメモリーによって可能になります。

例えば、職場の人の名前を思い起こしてください。その名前を心の中で、逆から読んでみましょう。

名前を思い浮かべて意識して、名前の中の文字を並べ替える。まさにワーキングメモリーがあるからできることです。

そして、私たちのワーキングメモリーの能力はごく限られたものです。

「名前の逆」エキササイズも名前が長いと難しい。今から15桁の数字を言うから、逆に復唱してみて。なんて言われたら大変です。

さて、私たちの脳のワーキングメモリーは、集中力と密接に関係しています。

今目の前で起きていることに注意を集中して意識するために、ワーキングメモリーが使われるのです。

そのワーキングメモリー。授業中に先生が話していいたり、職場でプレゼンをしているときに、ノートを取ろうとすることで、大きな負担がかかってしまうということがわかってきました。

確かに、ノートを取るためにはいろんなことができなければなりません。

• 話している人の言っていることを意識する。
• どれを書き留めるか決定する。
• どのような表現で書くか決定する。
• 手元のノートのスペースを意識して、適切に手を動かして字の大きさを調整したりする。

などなど。

ノートを取ることで、ワーキングメモリーに負担をかけてしまうと、集中力や学習効果に影響が出てきてしまいかねないのです。

正しいノートとの付き合い方

授業中にノートを取るのはワーキングメモリーの負担になる。ノートを見直すだけではベストの復習にならない。それでは、ノートを取るのをやめるべきか?

そんなことはありません。授業中にノートを取るのではなく、違ったやり方で、ノートを取ることで学習を最適化することができます。

それではそのやり方を紹介しましょう。

1. 授業やプレゼン中はノートを取らない。もし、録画や録音ができればしておく。
2. 授業やプレゼンが終わってから、「記憶の呼び起こし」で学んだ内容のノートを取る。
3. 録画や録音を聞き直したり、テキストをみながら、足りないところを埋める。
4. 復習の時のために、キーワードや質問をいくつか用意して、自分のための小テストを作っておく。
5. 復習するときは、まず「小テスト」から始めて、ノートに戻る。

もちろん、学校などで、こうしたやり方が当てはまらないことも多いでしょう。そういった場合は無理にこのやり方を当てはめるのではなく、先生方の指導に従うことをお勧めします。(その先生に直訴するのも効果的な手段ではないかもしれないのでお勧めできません!笑)

一方で、上のやり方が使える場合も多くあります。そうした場合には、これまでのやり方を変えて、上のやり方でノートと付き合ってみることをお勧めします。最新の「学びの科学」の成果が詰まっています。

授業やプレゼンでなくても、動画レクチャーなどで自習する場合でも使えるはずです。

また、テキストを読んで自習する場合でも、まずはテキストを読み進め、セクションごとに上記の2−5の要領で「記憶の呼び起こし」をしながらノートを取り直していくやり方が効果的です。

テキストを読みながらノートを取る、「ながらノート」は効果が低いです。

ある程度の量(数ベージ)で区切って、「記憶の呼び起こし」をしてノートを取るように心がけましょう。

教師の方々は、生徒が「ノート」を取りやすいように、穴あきプリントなどを用意しておいて、授業の途中途中で、その穴を埋めていくなどの作業をさせてあげるようなやり方も効果的だと言うことがわかってきています。

わりと、伝統的なやり方ではありますが、ノートを取ることがワーキングメモリーの負担になり、生徒のその場での学びの妨げになることを意識しましょう。

その上で、復習などがしやすいように、生徒をサポートしていくことが必要です。

【増刷決定!】2冊目となる新刊『スタンフォードが中高生に教えていること』

そして!

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星友啓校長の2冊目の書籍
『スタンフォードが中高生に教えていること』
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発売後10日と少しで
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本書の中では、

親や教師が当たり前のようにやっている8つの誤った「教育の常識」に警鐘を鳴らすとともに

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「こどもの才能を伸ばす16のヒント」

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『教育』

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星校長の最新刊『スタンフォードが中高生に教えていること』

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今回のクラウドファンディングを通じて

新刊が広まり、星校長

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