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偏差値や順位を上げたければ、偏差値や順位を気にしてはいけない?

研究

先日発売された「スタンフォードが中高生に教えていること」もご好評いただきありがとうございます!

発売10日ほどで重版も決まり、海を越えてたくさんの方々に手に取っていただいているということで、だいぶ泣けてきます。

「中高生」の中にも書いたのですが、私が校長を務めるスタンフォード大学・オンラインハイスクールでは、偏差値や順位を使っていません。

不毛な競争やストレスをなるべく遠ざけながら、学びそのものを楽しんでもらえるような環境づくりをしたいからです。

実際、偏差値や順位、つまり、他の生徒との比較に動機付けられながら勉強すると、長期的な学力にはつながらないということが科学的に示されてもきています。

今日はその辺りの関連研究についてお話しさせていただきます。

主役は我らが日本人研究者の村山航(むらやまこう)教授の研究。イギリスのUniversity of Readingで活躍されています。

どうやら、私と同じ都市に生まれ、さらに、同じ年に東京大学を卒業されているようで、勝手に親近感を感じております。

比較による動機づけと習得による動機づけ

他の生徒たちに負けない点が取りたい。いい偏差値、順位をとりたい。だから勉強しなくては。

こんな感じで、周りの生徒との比較によって勉強に動機付けられている生徒たちはもちろんたくさんいるわけです。これは、日本の受験戦争だけに限った現象ではありません。

一方で、学ぶことでその知識やスキルを習得すること自体に動機付けられている生徒たちもいます。

微分積分はなんだか凄いので、できるようになりたい。身に付けられるように、問題集をやってみよう。

ここでは、「微分積分」を習得したいので勉強しようと動機づけられているのです。「微分積分」を学ぶことによって他の生徒と差をつけたいとか、どうとかということではなく、純粋に知的好奇心からマスターしたいという動機付です。

村山教授らによる2011年の研究では、生徒たちを比較の動機付けと習得の動機付けの2つのグループに分けて、習得度を測定しました。

2つのグループとも、問題を解いていきます。

グループ1には、能力をつけるためのエキササイズだという説明をします。いわば、習得による動機付けをするのです。

グループ2には、他の生徒と比較するためのものだということを伝えます。いわば、比較の動機付けをするのです。

問題に取り組んだ後に、抜き打ちのテストをします。

結果は、「比較」の方が、「習得」のよりも上回っていました。

しかし、問題に取り組んだ日から、1週間後にテストをすると、「習得」の方が「比較」より成績が良かったのです。

つまり、より長く身について残るのは、習得のために動機付けられている場合の方だということです。

この結果は、村山教授らのその他の研究によっても裏付けられてきています。

今すぐやめるべきこと

この研究結果を踏まえると、テストの点を良くするためだけの一夜漬けは、二重の意味で学力の長期的定着に適していないことになります。

第一に、詰め込みの一夜漬けは、長期記憶の定着に効果的ではないということがわかっています。記憶しようとする行為を一定の時間開けて繰り返す方が、効果的だということがわかっているからです。

第二に、動機が比較によるもので、習得によるものではないからです。

一夜漬けは次につながらないので、やめましょう。

また、子供に点数や順位を焚きつけるような言葉をかけないように注意しなくてはいけません。

点数が悪いことを捲し立てるのがいけないのはもちろんですが、点数が良いことを褒めたりすることでも、より子供を他者との比較で動機付けてしまうことに繋がりかねません。

とはいっても、点数や順位が、全く無駄というわけではありません。

子供が遅れをとってしまっているようなときに、短期的に学習進度を進めて自信をつけさせたり、子供の学習進度を追い付かせたいときには、点数や順位の短期的なブースト効果を使うことも必要かもしれません。

ただ、そうした動機付けを恒常的に続けてしまうのは、得策ではないので注意が必要です。

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